2011 Fiscal Year Research-status Report
圧縮せん断法新規Ti/HA合金インプラント材としての臨床応用に関する基礎研究
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23792292
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
小貫 裕之 明海大学, 歯学部, 助教 (50598258)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Ti/Hap複合材料 / 圧縮せん断法 |
Research Abstract |
平成23年度内容は圧縮せん断法により作成した新規Ti/Hapプレートを用い、マウス頭蓋冠骨芽細胞(MC3T3-E1)との接触実験を行った。 実験1として、Controlをプラスチックプレートとし、対照をTiプレート、圧縮せん断法により作製されたTi/Hapプレート(含有率0 %、5%、7.5%、10%)に設定し、5%CO2下、37℃インキュベーター内で培養後、0時間、24時間、48時間、72時間の細胞増殖傾向をプレート上培養液のアミノ酸分析にて行った。実験1の結果として、過去の研究によりMC3T3-E1細胞の増殖に特異的と考えられたアミノ酸Gln、Ile、Leuの消費が優位に認められたが、本実験において細胞培養液中のアミノ酸の経時的な濃度変化が見られたため、この方法は細胞増殖評価として反映しない可能性が考えられた。 そのため、実験2として、プレート上の培養は同方法を行い、細胞増殖試薬であるWST-1を用いた細胞増殖定量を行った。その結果、control(100%)と比較し、Ti/Hapプレート(含有率0 %、5%、7.5%、10%)は、それぞれ増殖率100.87%、97.40% 、93.26%、106.87%で、ほぼcontrolと同程度の細胞増殖が見られた一方、Tiプレートでは、増殖率169.81%と高い細胞増殖が見られた。本実験予想として、Hap含有率増加に伴う細胞増殖傾向を示すと予想していたが、同材料を使用したTiプレートとTi/Hap含有率0%複合材料を比較しても、細胞増殖に大きな差が見られた。 そこで同金属間での作製方法の違いに着目し、実験3としてcontrolをTiプレートとし、対照を焼成温度1100℃と1300℃に設定し、同培養実験をと行った。結果は、Tiプレートと比較し、それぞれ56.2%、55.6%と低い細胞増殖傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在までの達成度の遅れている理由として、Ti/Hapプレートの作製工程に大幅な時間を要する点と、細胞増殖に影響のないとされるTiとHapが圧縮せん断により混和されることにより細胞増殖が抑えられてしまうという結果が、当初の実験予想と大きく違った点が挙げられた。作製過程で多孔質金属のため表面研磨に用いるカーボン、シリコンなどの研磨材料が多孔質部に残留している可能性や、Ti焼成温度の不十分さなどが原因として挙げられた。作製工程の見直しや、研磨材料の元素分析等を進めていたため、実験の進行状況に遅れが出てしまったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、平成24年度は、千葉工業大学機械サイエンス学部とのディスカッションを重ね、圧縮せん断法の作製工程および研磨材料の再検討を行う。 Ti/Hapプレートにあるカーボンの除去をUV照射にて行い、細胞増殖の再実験を行い、またプレート上の細胞付着状態を光学顕微鏡にて観察を行う予定である。その後、細胞の分化マーカーであるアルカリフォスファターゼによりTi/Hapプレート上での細胞分化を観察する予定である。 年度後半には、インプラント形状(スクリュー型)に加工したTi/Hap複合材料をビーグル犬下顎骨に埋入し、骨融合について進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費使用計画として、MC3T3-E1細胞、細胞培養液(α-MEM)、HBSS、FBS、細胞増殖試薬(WST-1)、アルカリフォスファターゼ試薬、TCA、プラスチックシャーレ、Western blot用試薬(検体含む)、RT-PCR用試薬(プライマー含む)、金属研磨材料、金属研磨用バフ、研究用ビーグル犬、動物用抗生剤、吸入麻酔薬セボフルレン、鎮静剤ドミトール、圧縮せん断Ti/Hapプレート作製費、(株)鈴木プレシオンへのインプラント体加工料、細胞観察用カメラ(付属品を含む)、画像解析ソフト(付属品を含む)、UV照射滅菌器、インプラント切片標本作製委託費、学会費にあてる予定である。
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