2011 Fiscal Year Research-status Report
エキシマレーザを用いたチタン製インプラント表面処理の開発
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23792294
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
片岡 有 昭和大学, 歯学部, 助教 (90527300)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔インプラント / チタン / ワイヤ放電加工 / UVランプ |
Research Abstract |
本研究の目的は,チタン製インプラントの表面改質技術によって得られた高い生体親和性および抗菌性を持った表面を最大限活用させるため迅速的な表面改質技術の開発および生体適合性検討である.本研究では,エキシマ放電により得られたエキシマUV光を用い,新たな表面処理を検討している.具体的には,申請者が現在までに研究し表面での生体反応が解明されてきたワイヤ放電加工された表面(EDSurface)を用い,エキシマUV 光を照射することで,様々な生体現象を比較している. 1年目ではエキシマUV光照射装置の作製をした.一般的に工業界で使用されているランプは大きく,我々が対象としているインプラント表面への照射には不向きであると考えたためである.さらに,エキシマUV光の特徴を明らかにするため.低圧水銀ランプを用意し,両者の波長特性を評価した.エキシマUV光は,175nmのところに最も高いピークがあり他にピークは見られなかったが,低圧水銀ランプは250nmにありブロード状の波長特性であった.エキシマUV光は均質な安定的な照射を行うことに有用であることが示唆された.また,研磨チタン表面は経時的に接触角が増し疎水性になるが,UV光照射により親水性に戻ることが分かった.この効果はエキシマUV光の方が高かった.ワイヤ放電加工表面は初期から親水性を示し,経時的にも研磨チタン表面ほど疎水性にはならず,親水性が継続することが示唆された.in vitroでは, 骨芽細胞の培養系を用いた.細胞の活性酸素種の発現はreal-time PCRの評価でどの表面でも差が生じなかったが,データに安定性がなく再評価が必要と考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究資金交付後すぐに歯科用インプラントを対象にした小型エキシマUV装置の作製に取り掛かり,順調に実験が進んでいる.学内にある研究施設と連携し,実験データは着々と蓄積されてきている.国内外での学会発表においても貴重な知見が得られ実験の方向性も適宜修正されている.1.ワイヤ放電加工による試料の作製:申請者が現在まで検討してきたワイヤ放電加工処理を用い,試料の作製を行う.ワイヤ放電加工は,コンピュータ制御による超純水中での非接触の加工であり,均一な試料を作製するためには有用である.この資料作製部分は今までの蓄積したデータがあるので問題なく作製できた.2.エキシマ放電による表面洗浄改質処理:エキシマUV 光を用いた処理を行う.エキシマ領域でのUV 光を用いることで表面洗浄改質が期待できる.自作で小型のUV照射装置を作製し,機能を評価したが「研究実績の概要」に示したように特異的な効果を示すことができた.3:タンパク吸着の評価およびin vitro評価:他教室の協力も得ながら,新しい分析機器を用いて評価を行うことができた.Real-yime PCRについては再評価を行って安定したデータと再現性を求めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に示した通り行う予定である.本学における動物実験計画書の申請も完了し承認されている.以下3点に重点を置き,進めていく.1.in vitroでの評価:昨年度からの継続であるが,現時点ではセルラインの細胞を用いて評価をしてきた.今年度はさらにラット頭蓋骨より採取した,骨芽細胞を培養する.作製した試料上に培養した細胞を播種し,初期接着細胞量,また,分化誘導培地を用いて長期培養して骨形成の様子を染色し,骨形成能まで評価する.また,期間を区切り,RNAを抽出し,Real-time PCR法を用いて,接着,増殖,分化,骨形成能を遺伝子レベル(integrin a5, collagen, osterix, osteocalcin, osteopontin, cbfa-1. GAPDH)で評価する.2.in vivoでの生体適合性評価:動物実験で用いる被検体は最小限であることが望ましい.ウサギ大腿骨に,インプラント体を埋入し,1週間,2週間,4週間,8週間後にとさつし,マイクロCT撮影および,組織切片作製に取り掛かる.左右の大腿骨にランダムに複数種類のインプラントを埋入することができる.また,組織切片作製前にマイクロCT撮影を併用することで試料から得られるデータを比較できる.3.論文作成および投稿:適宜,学会報告を行い,他機関とデータを比較検討し,有識者の意見を参考に進めていく.必要があればその原因を突き止め,再実験が必要であると認めたときには遂行する.最終的に,論文(英文)を投稿し,評価を得る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画書に示した通り行う予定である.データ整理および論文投稿も行うので,追加実験などが生じても問題ないように工夫して使用していく.1.物品費:細胞培養用の試薬および切片作製に主な費用が生じる.また,分析にあたっての前処理にも費用を計上している.2.旅費:昨年同様に学会発表は必要であるが,最終年度でもあるので体系的な発表を行い,広く意見を集めるために多岐にわたる研究者が集まる学会に参加するように研究費を使用する.海外学会での発表(10月)も計画している.3.謝金:動物実験等で複数人数の介助が必要な場合,および英文校正に使用する.4.その他:学会参加費に使用する.
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Research Products
(4 results)