2011 Fiscal Year Research-status Report
インプラント周囲骨の生物学的安定性に関する3次元的検証
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23792298
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
羽下 麻衣子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (60535219)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | インプラント / 骨細胞 / 細胞・組織 / 歯学 |
Research Abstract |
欠損補綴の選択肢として不可欠である歯科インプラント治療の成否は、周囲の骨組織の状態と密接に関わっている。したがって、インプラント周囲骨における骨細胞や骨基質に関する情報は、インプラントの成功に必須の基礎的データになると考えられる。今年度は、インプラント周囲骨の生物学的安定性の検証のため、ラット上顎骨インプラント植立モデルを用いて、インプラント周囲骨を免疫組織化学的に検索し、以下の結果を得た。骨細胞のマーカーであるdentin matrix protein 1の免疫蛍光染色を施した切片を共焦点レーザー顕微鏡により観察することで、インプラント植立後早期のインプラント周囲骨中に、骨細胞が消失し、空虚となった骨小腔が存在することを3次元的に確認した。また、骨リモデリングに関わるmatrix metalloproteinases(MMPs)の経時的変化を免疫組織化学により観察することで、傷害された骨が活発なリモデリングにより新生骨に置換する過程で、MMPs陽性の骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞が多く存在することを明らかにした。以上のように、今年度は、インプラント周囲骨において、骨細胞を中心とした骨中の細胞が窩洞形成やその後の骨リモデリングと関連して変化すること、これらの細胞がインプラント周囲骨の治癒に影響する可能性があることを新たな視点から示した。次年度は、今年度行った実験をもとに、更なる検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、実験を行いながら、その結果を考慮し、研究の目的を達成するうえで優先すべき免疫組織化学的実験に取り組んだ。研究全体の進行はおおむね順調であると考え、上記のような判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、より詳細にインプラント周囲骨の性状を明らかにし、インプラント周囲骨の生物学的安定性について検討したいと考えている。そのため次年度は、骨細管を含んだ骨細胞の周囲基質に反応するdentin matrix protein 1に対する抗体に加えて、sclerostinなどの他の骨細胞マーカーを用いた蛍光免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡にて3次元的に検索する予定である。また、これらを組み合わせた蛍光2重染色にも取り組み、今年度得られたインプラント治癒過程における骨細胞の動態と骨基質の変化をより明確にしていきたい。その際、実験で得られた結果をもとに随時計画を再検討しながら、インプラント周囲骨の生物学的安定性を解明するために重要な情報を得られるよう実験を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、上記のように実験により得られた結果を考慮しながら、その後の実験を計画・進行する予定であるが、現在のところ、研究費使用に関しては大きな変更をせず、当初の計画に沿って使用する予定である。
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