2012 Fiscal Year Research-status Report
ソフトプロセスによる低結晶アパタイト透明体の構造設計と歯科材料としての機能評価
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23792301
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
岡田 正弘 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70416220)
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Keywords | バイオセラミックス / ハイドロキシアパタイト / ナノ粒子 / ナノプロセス / 結晶性 / 細胞接着 |
Research Abstract |
本研究課題は、新規な機能性歯科材料の創出を目指し、申請者が見出した「ソフトプロセス」により得られる低結晶性アパタイト透明体の構造制御と機能評価に関する検討を行うものである。このソフトプロセスとは、室温付近で作製した低結晶性アパタイトナノ粒子の水分散体を室温付近で乾燥させることでナノ粒子を集合化させる手法である。 平成24年度においては、低結晶性アパタイト透明体の組成制御のために、陽イオン(マグネシウムイオン)あるいは陰イオン(炭酸イオン)といった共存イオン種を加えてアパタイトナノ粒子を作製した。アパタイトナノ粒子は硝酸カルシウムとリン酸水素二アンモニウムを用いた湿式法をベースとして作製した。作製したナノ粒子の粒子径および形態は走査型電子顕微鏡によって評価し、X線回折法によってその結晶構造を同定した。マグネシウムイオンあるいは炭酸イオンを添加した場合、得られるナノ粒子の結晶性が低下することを確認した。 次に、作製したナノ粒子分散液を各条件で乾燥させることで、透明ナノ粒子集合体を作製した。マグネシウムイオンを加えた場合には透明性が低下し、一方、炭酸イオンを加えた場合には透明性が向上した。これは、得られたナノ粒子の粒子径および凝集状態が添加イオン種によって異なり、粒子径および凝集塊が小さい場合に透明性が向上することを見出した。ここで、透明体の電子顕微鏡観察から、得られた透明体には粒子間隙に由来するナノ気孔が存在することが明らかとなった。また、作製したアパタイト透明体をリン酸緩衝液中に浸漬した結果、透明体内部に存在するナノ気孔中に液体が浸潤することを見出した。 以上のように、平成24年度の検討によって、透明体形成に最適な低結晶性アパタイトナノ粒子の作製条件およびソフトプロセスの処理条件を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の検討においては、透明体形成に最適なハイドロキシアパタイトナノ粒子の作製、および、透明体の形成条件を見出すことを目的とした。「9.研究実績の概要」に記載したように、当初の目的通り、湿式法およびソフトプロセスの諸条件を検討することで目的を達成したため、「(2)おおむね順調」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)低結晶性アパタイト透明体の構造制御:アパタイトナノ粒子の作製時に、陽イオンとして亜鉛イオン等あるいは陰イオンとしてフッ素イオン等を加えることで、得られるアパタイトの組成を制御する。作製したアパタイトナノ粒子用いて、平成23~24年度の検討により最適化したソフトプロセスにより透明体を作製し、その構造および機械的特性を評価する。 (2)生物学的特性評価:作製した各種アパタイト透明体上で細胞の初期接着性、および、細胞機能の発現(増殖、運動挙動、分化挙動)を評価する。ここで、対象とする細胞としては、アパタイトの認識性が高い骨芽細胞および間葉系細胞を主に扱う予定である。本研究で対象とする材料は透明であるため、染色することなく上記のような細胞挙動を経時的に観察することが可能である。得られた知見をもとに、透明体の物理的性質(アパタイトナノ粒子の粒径、表面荒さ、表面電位)と生物学的特性(細胞接着性、細胞増殖性、接着分子の発現、分化マーカーの発現)の関係を導き出し、細胞機能発現に係るナノ構造の一般法則について明らかにする。 以上の結果をもとに、アパタイト透明体の構造制御を達成し、機能発現に係るナノ構造の一般法則を明らかとすることで、新規な機能性歯科材料の創出を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、低結晶性アパタイトナノ粒子および透明体の作製、ならびに、アパタイト透明体上での細胞挙動の評価に係る消耗品費を中心とする。 次年度に使用する予定の研究費がある(「収支状況報告書」の「次年度使用額」の合計欄が0円以外である)が、これは、東北地方太平洋沖地震の影響によって、参加予定であった平成23年度の国内学会への参加を中止ししために当該研究費が生じたものである。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等は現時点ではない。
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Research Products
(4 results)