2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトプロセスによる低結晶アパタイト透明体の構造設計と歯科材料としての機能評価
Project/Area Number |
23792301
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
岡田 正弘 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70416220)
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Keywords | バイオセラミックス / ハイドロキシアパタイト / 結晶性 / ナノプロセス / ナノ粒子 / 細胞接着 |
Research Abstract |
本研究課題は、新規な機能性歯科材料の創出を目指し、申請者が見出した「ソフトプロセス」により得られる低結晶性アパタイト透明体の構造制御と機能評価に関する検討を行うものである。このソフトプロセスとは、室温付近で作製した低結晶性アパタイトナノ粒子の水分散体を室温付近で乾燥させることでナノ粒子を集合化させる手法である。 平成25年度においては、前年度までの検討によって得られた低結晶性アパタイト透明体の評価を行った。まず、水銀圧入法によりナノ多孔質構造を評価した結果、ナノ多孔質構造は集合化したナノ粒子の間隙に由来するものであり、原料として用いたナノ粒子の粒子径が小さいほど孔径が小さくなることが明らかとなった。さらに、組成制御のために加えた共存イオン種によってナノ粒子の分散性が異なり、ナノ粒子の表面電位が高い場合では孔径および気孔率が小さくなることが明らかとなった。これらの結果は、前年度までに評価を行ったナノ粒子集合体の透明性と相関したものであった。 次に、作製したナノ粒子集合体の細胞試験を行った。この際、透明性の高いナノ粒子集合体を用いた場合では、播種した細胞を前処理することなく光学顕微鏡で直接観察することが可能であった。また、いくつかの細胞種を用いて評価を行った結果、骨芽細胞様細胞の低結晶性アパタイト透明体に対する初期接着性は市販培養シャーレと同程度に高いことが確認された。さらに、原料となるナノ粒子の粒子径が初期接着性および増殖性に与える影響について検討した結果、細胞種によって最適な原料粒子径があることを明らかとした。 以上のように、平成25年度の検討によって、低結晶性アパタイト透明体の物理的性質と生物学的特性の関係を導き出し、歯科材料としての機能発現に係るナノ構造について知見を得ることができた。
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Research Products
(5 results)