2012 Fiscal Year Research-status Report
ヘミクリプトファンによるフッ素徐放性の高効率化とコンポジットレジンへの応用
Project/Area Number |
23792302
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
牧田 佳真 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (30454573)
|
Keywords | ヘミクリプトファン |
Research Abstract |
従来のフッ化物イオン徐放性修復材料では、フッ化物イオンをう蝕予防に有効な濃度で持続的に徐放し続けることは困難であり、補充に高濃度のフッ化ナトリウム水溶液が必要なことから、これまでに無い十分な徐放性と補充性を有するフッ化物イオン徐放性修復材料の開発が望まれている。本研究では、我々がこれまでに開発した中空構造の有機分子であるヘミクリプトファンを用いることで、高効率なフッ化物イオンの徐放性及び補充性を示す修復材料を開発することを目的とした。これまでにヘミクリプトファンの合成及び構造決定を行った。その結果、得られたヘミクリプトファンは様々な金属イオンを空孔内に取り込み、フッ化物イオンなど対アニオンの一部がヘミクリプトファンの空孔内に包接されていることを明らかにした。今回、さらに中空構造のサイズが異なるヘミクリプトファンを合成しその構造決定を行った。得られた新規ヘミクリプトファンにコバルトイオンを内包させX線結晶構造解析を行ったところ、中空構造内にコバルト以外に二種類の小分子を取り込むことが明らかとなった。このことからヘミクリプトファンによるフッ化物イオンの取り込みだけでなく、他の薬剤の徐放も可能なことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の実施計画では、フッ化ナトリウムを包接可能なヘミクリプトファンの合成および構造解析を行った後、ヘミクリプトファンのフッ化物イオンの補充能について評価を行うところまでであったが、補充能の評価については現在検討中である。しかし、今回新たな空孔サイズを有するヘミクリプトファンの合成と構造決定の開発に成功している。本ヘミクリプトファンはフッ化物イオンだけでなく、他の薬剤等の徐放等にも応用可能であり、当初の目標とは異なるが、意外性のある発見が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回新たに見出したヘミクリプトファンのフッ化物イオンの徐放性及び補充性の評価、及び様々な薬剤の徐放性及び補充性の評価について検討していく。さらに、得られたヘミクリプトファンのコンポジットレジンへの添加についても検討していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヘミクリプトファン合成及び評価用の試薬及び実験器具の購入に充てる。
|
Research Products
(2 results)