2011 Fiscal Year Research-status Report
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23792305
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秦 浩信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70450830)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔カンジダ症 / Toll-like receptor / ヒト末梢血単核球(PBMC) / 自然免疫能 / Natural killer(NK)活性 |
Research Abstract |
口腔カンジダ症などの粘膜表面からの感染に対しては第一ステップとして自然免疫が主体に反応すると考えられており、本研究ではヒトの加齢変化に伴う自然免疫の減弱レベルを評価し、口腔カンジダ症の新たな発症因子を探ることが目的である。 23年度は、ヒト末梢血単核球(PBMC)におけるToll-like receptor(TLR)の発現と機能、さらにNatural killer(NK)活性と口腔カンジダ症との関連性について調査した。口腔内の疼痛を主訴に北海道大学歯科診療センターを受診した25歳~89歳までの口腔疾患患者、北海道大学学生ならびに教員の健常人ボランティアを対象とした。各人にクロモアガー寒天培地にて口腔カンジダの検出を実施し、コロニー数に応じてカンジダ群39名、非カンジダ群49名に分類した。各人の末梢血よりPBMCを採取し、(1)TLR2ならびに補助レセプターであるTLR1,6、さらにTLR4の発現をフローサイトメーター(FCM)で測定、解析した。TLR1,2,4,6の発現レベルは口腔カンジダ症患者と健常者間で有意差は認めなかった。(2)TLR2,4のリガンドであるFSL-1,LPSを用いてPBMCを刺激し、NF-κBの転写活性を亢進させて、産生されたTNF-αやIL-6などのサイトカイン量をELISA法で測定しTLRの機能を評価した。結果TNF-αの産生量が有意に低下したことから、TLR2,4の機能の低下があるものと思われた。(3)PBMCのNK活性を計測し検討を行ったが口腔カンジダ症患者と健常者間で有意な差は認められなかった。以上より、口腔カンジダ症患者のPBMCではTLR2ならびにTLR4の下流のシグナル伝達分子の機能に異常がみられる可能性が示唆され、口腔カンジダ症患者ではTLR2ならびにTLR4の発現量は変化がなく、機能低下が重要な役割を果たしていることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔カンジダ症患者と健常者を比較した際に、PBMCのTLR発現レベル、NK活性に有意な差は認められていないが、TLRの機能に差がある傾向がある。今後サンプル数を増やすことによって、その傾向がより明確になれば、口腔カンジダ症と自然免疫の関係性が明らかになると考えられる。以上より、現時点では、本研究がおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)今後、各年齢層のサンプル数を増やすことで加齢変化に伴う自然免疫能の減弱と、口腔カンジダ症の関連についても調査していく予定である。2)マウスを用いて、口腔カンジダ症モデルを作り、マウスの加齢や栄養状態による自然免疫の減弱レベルとカンジダ定着レベルそしてTLRの発現・機能との関連性について調査をすすめる。3)研究計画に変更点や遂行する上での問題点は特にない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度未使用額が発生したが、当初予定していた学会参加が都合で急遽参加できなくなったためである。平成24年度で学会・研究会参加旅費に使用予定である。次年度も実験環境は整っており、新たに必要な高額設備備品はない。消耗品や抗体などの実験試薬、実験動物購入費が主な使用目的である。また、研究発表や研究打ち合わせのための旅費や、論文投稿費などに使用予定である。
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Research Products
(10 results)