2011 Fiscal Year Research-status Report
自己血漿と骨髄間葉系幹細胞を併用したハイブリッドマテリアルによる骨再生療法の検討
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23792324
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
丸川 恵理子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40419263)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 血漿 / fibrin / 骨髄間葉系幹細胞 / 骨髄穿刺液 / 骨再生 |
Research Abstract |
自己血漿中の構成成分の違いによる骨形成能の比較においては近交系F344ラットを用いてPRF・PRP・PPPを作製し、PRP・PPPのフィブリノーゲン量、血小板数を計測し、予測通りの結果が認められた。同ラット頭蓋骨に径5mmに円形の骨欠損を作製し、いずれかの血漿を補填して、X線学的・組織学的に骨形成能を評価した。PRPの結果がまだ評価できていないが、μCTと組織標本からの結果で、PRFよりもPPPの骨形成能が優位にあった。さらにPRF、PPP共に対照群と比較すると優位な結果となった。また、同様の血漿成分での骨形成能の比較をイヌの抜歯後骨欠損部に用いて比較を行った。ラットの頭蓋部骨欠損とは細胞成分の量や術後骨形成の場の圧力がかかる程度が異なるため、結果が異なる可能性を想定して追加して実験を行っている。自家骨髄間葉系幹細胞の濃縮・分離法の検討としては抗凝固剤を含ませて、イヌ骨髄穿刺液を採取し、遠心分離して得られた細胞を培養、増殖させ、in vitroでの骨分化能を評価し、骨髄穿刺液の細胞回収率、増殖能を比較検討した。濃縮した骨髄群と濃縮しない骨髄群で採取した骨髄穿刺液を1週間培養した細胞数を比較したところ濃縮骨髄群の骨髄細胞数は非濃縮骨髄群と比べて平均4.9倍に増加していた。また、in vivoでの骨形成能を検討するためにイヌの背部皮下にβTCPと混合させて移植し、異所性骨形成能をみたが、移植後3、6週の平均新生骨面積は濃縮骨髄群で最も優位であり、濃縮骨髄群とTCP群間で有意差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イヌの抜歯後骨欠損部での血漿成分の違いによる骨形成能の比較検討を追加していることもあるが、ラットも含めて骨形成をみる評価時期が時間を要することが理由としてあげられる。さらにμCTによる撮影時間、組織標本作成(標本切り出し、脱灰時間、切片作成)、これらの形態計測すべてに膨大な時間を要している。しかし、評価に時間がかかってはいるが、実験自体は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
自己血漿中の構成成分の違いによる骨形成能の比較を完結させて、今後の実験の再評価を行う。自家骨髄間葉系幹細胞の濃縮・分離法の確立としては、in vitroでの検討をmRNAの発現解析を含めて詳細に行う。それにより、骨形成に作用している機構をできるかぎり解明したい。また、より確実で早い骨形成の確立のために成長因子であるrhBMP-2の併用効果を検討し、rhBMP-2の最適化を併せて行う。ヒトMSC・血漿を用いた検討を前述の実験結果を踏まえて、ヒト骨髄穿刺液を採取し、同様の実験をおこなう。in vitro、in vivoも同様の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.自己血漿中の構成成分の違いによる骨形成能の比較 ラットを用いたPRF・PRP・PPPの血小板由来成長因子であるTGF-β1濃度、PDGF-AB濃度を計測する。mRNAの発現解析、フローサイトメトリーを用いた細胞成分の解析、SEMによる形態学的検討などを行う。ラット、イヌ共に組織標本を完成させる。μCT、組織標本から新生骨の形態計測を行う。以上すべての結果から総合的に評価し、今後の実験の再評価を行う。2.自家骨髄間葉系幹細胞の濃縮・分離法の確立 濃縮した骨髄群、非濃縮骨髄群、対照群でのin vitroでの骨分化能を検討する。1と同様にmRNAの発現解析、フローサイトメトリーを用いた細胞成分の解析、SEMによる形態学的検討などを行う。また、rhBMP-2の併用効果をin vivoでの同様の実験方法で比較し、rhBMP-2の最適化を併せて行う。3.ヒトMSC・血漿を用いた検討 前述の実験結果を踏まえて、ヒト骨髄穿刺液を採取し、in vitroで同様の実験をおこなう。in vivoではヌードマウスの背部皮下へβTCPと混合させて移植し、異所性骨形成能をみる。骨髄穿刺液採取量の違いによる濃縮条件の設定や骨形成能の違いを検討する。
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