2011 Fiscal Year Research-status Report
顎関節滑膜組織における疼痛の発現とその調節機構の解明
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23792325
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池田 順行 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70419282)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 顎関節 / 滑膜組織 / 疼痛 |
Research Abstract |
顎関節症患者の顎関節部の疼痛原因は、関節円板の転位がもたらす周囲組織への侵害刺激によるとする概念以外に、滑膜組織自体にも組織学的変化が生じ疼痛に関連する因子が発現されているとも考えられている。本研究の目的は、顎関節症患者の滑膜組織の変化を検索し、顎関節症患者の疼痛に滑膜組織がどのように関与しているかを明らかにすることである。 申請した研究計画にもとづき、まずは生後50日齢の正常ラット顎関節滑膜組織を観察した。生後50日齢ラットの顎関節部の光学顕微鏡による観察では、上下関節腔が明瞭に形成され、前方、後方部では滑膜ヒダの形成がみられた。また関節腔を裏打ちする滑膜表層細胞は層構造を形成しており、滑膜ヒダ部で厚みを増していた。免疫組織化学的には、Hsp25免疫陽性のB型細胞が滑膜表層を連続して裏打ちするように観察された。透過型電子顕微鏡による観察ではB型細胞は、滑膜表層に配列し細胞質突起をシート上に伸ばし滑膜表層を覆うをタイプと、深部に細胞体を位置しその細胞質突起を関節腔表層に伸ばしているタイプに分類された。またB型細胞は明るい核をもち、豊富な粗面小胞体を有する細胞質を特徴としていた。一方、免疫陰性のライソゾームや偽足様突起をもつA型細胞は、滑膜表層からわずか深部に存在し、アポトーシスを生じている細胞を貧食している様子が確認された。今後はさらに経時的な観察を続けるとともに、異常顎関節モデルを作成してその組織学的変化を比較検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織切片を比較検討するためには、顎関節の組織切片を作製する際の角度付けを統一する必要があり、その設定に苦慮したためにやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
正常顎関節滑膜組織の経時的観察を進めるとともに、異常顎関節モデルを作製して同様に観察し、比較検討を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
顎関節組織切片作製に際し、角度付けの統一化に苦慮し研究にやや遅れが生じたため、本年度予定していた試薬等の使用量に達しなかった。しかし統一化はある程度計れてきたため、次年度は本年度遅れた分と予定していた分の研究を進める予定であり、試薬等もその相当量の使用を予定している。
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Research Products
(2 results)