2012 Fiscal Year Research-status Report
顎関節滑膜組織における疼痛の発現とその調節機構の解明
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23792325
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池田 順行 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70419282)
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Keywords | 顎関節 / 滑膜組織 / 疼痛 |
Research Abstract |
顎関節症患者の疼痛は、関節円板の転位による周囲組織への侵害刺激であるとする概念が主とされているが、それ以外に滑膜組織に組織学的変化が起こり、疼痛関連因子が発現されているとされる仮説も存在する。本研究の目的は、顎関節症患者の滑膜組織の変化を経時的に検索し、顎関節症患者の疼痛に滑膜組織がどのように関与しているかを明らかにすることである。 申請した研究計画にもとづき、昨年度、生後50日齢の正常ラット顎関節滑膜組織を線維芽細胞様のB型細胞に着目して免疫組織学的に観察し、その組織学的構造を明確にしてきた。本年度はその組織学的構造自体が異常では無いことを確認するため、顎関節滑膜組織を発生学的見地から検索した。生後1目では、上関節腔表層に扁平なHsp25陽性の滑膜B型細胞の出現がみられ、生後3日目では、滑膜表層に配列する細胞に加え、やや深部に存在し細胞質突起を関節腔に向けて伸ばすHsp陽性B型細胞胞も確認された。生後7日目ではHsp陽性B型細胞はその数を増して細胞内小器官を充実させ、滑膜表層はB型細胞の細胞体や細胞質突起によって覆われるようになった。生後15日目では滑膜表層のHsp陽性B型細胞が重層化し、滑膜ヒダ側面を扁平な陽性細胞がシート状に覆うようになった。生後30日目では生後15日目および生後50日目と大きな組織学的変化は観察されず、これらの日齢あたりの滑膜組織がいわゆる正常の滑膜組織の像であると考えられた。今後は、さらなる免疫組織学的研究を進め、異常顎関節モデルについて観察し比較検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織切片の経時的組織変化を比較するために、切り出し角度は統一化する必要があり、その設定に苦慮した。さらにすべて日齢も異なっていることが、切り出し角度の統一化をより困難にさせ、切り出し角度の設定に苦慮したためやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
正常顎関節滑膜組織の組織学的観察をもう少し深め、異常顎関節モデルを作成して、比較検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究にやや遅れが生じているため、本年度使用予定であった試薬等の消耗品での使用が多くなる予定である。
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Research Products
(4 results)