2011 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性自律神経障害が引き起こす循環制御機構の障害メカニズムの解明
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23792335
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朴 曾士 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50587566)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 出血 / c-Fos |
Research Abstract |
本研究は、糖尿病モデルラットに血圧低下を引き起こす種々のストレスを加えた場合の循環動態、自律神経活動、および延髄弧束核でのc-Fos発現から、反射性循環調節への糖尿病性自律神経障害の影響を多面的に解明するものである。まずは、糖尿病モデルラットを用いて、急性出血時の循環動態と自律神経活動を検討した。その結果、糖尿病ラットでは動脈圧受容体感受性が低下しているにも関わらず、出血に対するsympathoinhibitory phaseにおいて、副交感神経活動の著しい亢進を伴う心拍数の減少(Bezold-Jarisch反射)が出現し、早期に出血に対する代償機転が破綻つまり、急性出血時に心筋が過度に収縮し、虚血に陥ることから心筋を保護するBezold-Jarisch反射が著明に亢進することを再度確認した。 現段階ではこれらのラットの脳を還流固定によって取り出し、圧受容体反射の一次中継核である延髄弧束核におけるc-Fos陽性細胞の発現を、糖尿病モデルラットと正常ラットで比較している。現段階において、統計学的な有意差は認めないものの、急性出血時における延髄弧束核におけるc-Fos陽性細胞の発現は、糖尿病モデルラットがコントロールラットと比較して多い傾向を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日々の日常麻酔臨床をこなしながら、本研究を遂行しているが、研究に目立った遅れはないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は(1)急性出血時によりBezold-Jarisch反射を誘発させた場合の圧受容体反射の一次中継核である延髄弧束核におけるc-Fosの発現を糖尿病モデルラットと正常ラットで比較する。(2)ニトロプルシッド投与により急性出血時と同程度の血圧低下を引き起こした場合の弧束核c-Fosの発現を、糖尿病モデルラットと正常ラットで比較する。以上より糖尿病性自律神経障害を有するモデルラットおいて、急性出血に対する延髄弧束核でのc-Fos陽性細胞の発現部位・数を、降圧剤を投与した場合と比較することにより、急性出血時のBezold-Jarisch反射の亢進の原因を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き消耗品としてラット及び薬剤を購入する。物品としては血圧生体電位送信器を購入予定である。また成果を海外の学会で発表予定である。
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