2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性自律神経障害が引き起こす循環制御機構の障害メカニズムの解明
Project/Area Number |
23792335
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朴 曾士 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50587566)
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Keywords | 糖尿病 / 出血 / 自律神経 / c-Fos |
Research Abstract |
本研究は、糖尿病モデルラットに出血のストレスを加えた場合の循環動態、自律神経活動及び延髄弧束核でのc-Fos陽性細胞発現から、反射性循環調節への糖尿病性自律神経障害の影響を多面的に解明するものである。 初年度には糖尿病モデルラットに急性の出血を引き起こし、急性出血時の循環動態と自律神経活動を検討した。その結果糖尿病ラットでは、出血に対するSympathoinhibitory Phaseにおいて、副交感神経活動の著しい亢進を伴う心拍数の減少(Bezold-Jarisch反射)が出現し、出血に対する代償機転の早期の破綻が生じる事が 判明した。 最終年度では、急性出血を引き起こした糖尿病ラットの脳を還流固定によって取り出し、圧受容体反射の一次中継核である延髄弧束角におけるc-Fos陽性細胞の発現を正常ラットと比較した。またフェニレフリンを投与し、圧受容体反射を惹起させ、延髄弧束核におけるc-Fos陽性細胞の発現を糖尿病モデルと正常ラットで比較した。その結果、急性出血時の延髄弧束核 Intra medial におけるc-Fos陽性細胞の発現は、糖尿病ラットが正常ラットと比較し有意に多かった。またフェニレフリン投与時の延髄弧束核 Intra medial におけるc-Fos陽性細胞の発現は、正常ラットが糖尿病ラットと比較し有意に多かった。 以上より、糖尿病ラットでは急性出血を来した際に、本来働くべき交感神経系は作動せず、副交感神経系の著しい亢進と共に、出血に対する代償機転の早期の破綻する事が裏付けられれた。
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