2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔顔面領域における神経因性疼痛メカニズムと神経栄養因子の関与の解明
Project/Area Number |
23792336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大山口 藍子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70464237)
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Keywords | 神経因性疼痛 / 神経栄養因子 / c-Fos / IB4 |
Research Abstract |
研究の全体構想として侵害受容C線維には、NGFに依存性のペプチド性C線維と、GDNFに依存性の非ペプチド性C線維があるが、これら2種類のC線維の機能を明らかにすることを目的とする。さらに神経系の発生、機能、再生に関わる重要な細胞外シグナルの神経栄養因子に着目し、疼痛制御への関わりを明らかにすることを目的とする。 研究計画として1)ペプチド性C線維と非ペプチド性C線維の2つのC線維の侵害受容様式を解明した。ラットの小脳延髄槽にIB4-Saporinを投与し、非ペプチド性C線維を延髄後角尾側亜核(Vc)領域で選択的に削除し、ラット上唇へのホルマリン注射による疼痛関連行動(PRB)を調べた。結果、三叉神経節のIB4陽性神経細胞体数がコントロールに比べて減少した。またIB4-Saporin処置ラットにおけるPRBは有意に増加した。2)さらに神経活動の指標としてc-Fosを定量し脳内活動部位の同定と活性化の程度を解析した。結果、Vcのc-Fos免疫陽性細胞は楕円から円形の核で標識され、標識細胞の多くはVcの尾側(閂より1.5-2.4mm尾側)に分布し、VcI/II層の腹外側に分布した。IB4-Saporin処置ラットのc-Fos発現数はコントロールに比べて有意に増加した。3) 神経栄養因子のGDNF familyの1つであるアルテミンにより痛覚過敏が制御されるか調べた。そのため、IB4-Saporin処置後ラットのホルマリンテスト前に上唇部へアルテミンを投与しPRBを調べた。結果、PRBはアルテミン投与により有意に減少し、c-Fos発現数も減少した。以上より、非ペプチド性C線維は抗侵害受容性制御の役割を持つことが明らかとなり、アルテミンは失った神経機能をもとの状態へ修復する役割を持つ可能性が示唆された。
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