2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の浸潤転移阻止を目的としたWntシグナル伝達経路の解析
Project/Area Number |
23792339
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米川 敦子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70600914)
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Keywords | 口腔癌 / beta-catenin / wntシグナル / 浸潤 / 転移 |
Research Abstract |
口腔癌の治療において、浸潤と転移を制御することが重要である。wntシグナル伝達経路の中心をなすbeta-catenin経路の恒常的な活性化は癌化に寄与すると考えられている。近年、beta-catenin経路の標的遺伝子として細胞の運動や浸潤に関わる遺伝子が報告されている。本研究の目的は、口腔扁平上皮癌におけるwnt/beta-catenin経路と浸潤や転移との関連性を解析し、口腔癌の浸潤や転移を抑制する新たな分子標的治療薬の開発を目指すものである。実験にはbeta-cateninが細胞膜にのみ局在する口腔扁平上皮癌細胞Ca9-22と、この細胞に変異型beta-cateninを遺伝子導入し、細胞質と核にbeta-cateninが集積するC1、C5を使用した。これまでに、C1、C5では、細胞運動に関与するRho family分子の活性化と細胞骨格の再構成により細胞形態が紡錘形に変化し、遊走能の亢進が認められ、この過程には転写因子Tcf/Lefの転写活性の増強が関与していることが明らかとなった。H24年度は、C1、C5における各wntの発現を半定量RT-PCRで検討したところ、wnt5aの発現増強が認められた。またC1、C5にドキシサイクリンを作用させ、変異型beta-catenin遺伝子の発現を抑制すると、wnt5aの発現量は減少した。さらに細胞蛍光免疫染色でも、C1、C5では、Ca9-22に比して、wnt5aの発現が亢進し、ドキシサイクリンを作用させると、その発現は抑制された。次に、親株Ca9-22にwnt5aを作用させると、その遊走能は亢進したが、C1、C5では遊走能の亢進は認められなかった。さらにwntシグナルの阻害剤であるs-FRP2はwnt5aの作用によって亢進したCa9-22の遊走能を抑制した。同様にs-FRP2は、C5の遊走能も抑制する傾向を示した。
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