2012 Fiscal Year Research-status Report
がん・精巣抗原を基盤とした、日本人に適用性の高い血清診断法の開発
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23792343
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
銅前 昇平 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70397892)
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Keywords | がん抗原 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
われわれが同定し、腫瘍マーカーの候補である新規がん抗原、G kinase anchoring protein 1 ( GKAP1 )について、 GKAP1組換えタンパクを用いたELISA法及びウェスタンブロット法により液性免疫応答の解析を行った。その結果、頭頸部癌患者では25例中3例で抗体が認められ、さらにELISA陽性患者血清中の抗体はGKAP1タンパクに特異的であることが確認された。また、大腸癌のSEREXスクリーニングにより、新規がん・精巣抗原、Tektin5を同定した。Tektin5組換えタンパクを用いたELISA法により頭頸部癌患者の液性免疫応答を解析した結果、19例中3例が抗体陽性であった。16人の健常人血清には抗体は認められなかった。これまでにわれわれが同定したCT抗原性を有する抗原のうち、CCDC62-2、GKAP1、Tektin5は、各種のがん患者血清において抗体陽性であり、特に頭頸部癌においてこれら3種類の抗原に対する抗体は、健常人血清よりも高頻度に検出されることがわかった。従って、これら抗原は頭頸部癌に対する新規の腫瘍マーカーとして有望であると考えられる。 また、ケモカイン受容体の一つであるCCR4について、頭頸部癌での発現解析を行なった。フローサイトメーターを用いた解析では、頭頸部癌細胞株6例中3例(50%)で発現が認められ、免疫組織染色においても、頭頸部癌28例中10例(36%)で陽性反応が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組換えタンパクを用いたELISA法により、各種のがん患者血清中の抗体の頻度を解析している。さらに臨床パラメータとの関連について解析し、新規腫瘍マーカーとしての臨床的意義について検討している。現在までのところ頭頸部癌については、CCDC62-2、GKAP1、Tektin5が有望である。また、モノクローナル抗体を用いて各種がん組織のパラフィン切片上で各抗原タンパク発現を免疫組織化学的に解析している。抗原タンパク発現と臨床パラメータとの関連について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間中継続して、複数のCT抗原を発現しているがん患者血清を用いてSEREXスクリーニングを行なう。さらにDNAマイクロアレイを用いてがんに高発現する遺伝子を特定する。 前年度より引き続き、がん抗原に対する液性免疫応答解析、免疫組織化学的解析を行なう。CCDC62-2などわれわれ独自のCT抗原と、特異性と抗原性を有する抗原を選択、それらをもとに作製した組換えタンパク、モノクローナル抗体をパネルとして組み合わせたシステムを構築し、検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究期間中に新たに抗原が同定されたことなどにより、求められる結果の優先順位の変更に伴って、当初の実験計画の内容から多少の変更が生じた。その結果、平成24年度の経費の一部を平成25年度の経費として使用する予定である。 具体的には、次年度消耗品費としてGKAP1、Tektin5などの抗体試薬、遺伝子発現解析のための酵素やTaqMan試薬、組換えタンパク作製のための試薬、モノクローナル抗体作製のための組織培養血清・培地及び実験動物経費、免疫組織化学染色のための試薬、及びプラスチック、ガラス器具類などに使用予定である。また研究の成果発表のための国内旅費が必要であり、使用予定である。
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Research Products
(3 results)