2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん・精巣抗原を基盤とした、日本人に適用性の高い血清診断法の開発
Project/Area Number |
23792343
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
銅前 昇平 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70397892)
|
Keywords | 腫瘍マーカー / がん・精巣抗原 / SEREX法 |
Research Abstract |
個々のがん抗原について、特異性と免疫原性、さらに臨床病理学的事項との関連性についての解析を行った。免疫組織化学的染色にて、頭頸部癌で比較的発現頻度が高い既知のCT抗原MAGE-A、およびCCDC62-2のタンパク発現と、各種臨床病理学的因子との関連性を統計学的に解析した。MAGE-Aタンパクは13/45例(28.9%)で発現陽性であった。MAGE-Aタンパク発現陽性群はMAGE-Aタンパク発現陰性群に比べ、腫瘍径(P=0.408)、進行病期(P=0.542)、リンパ節転移(P=0.215)においては両群に有意差を認めなかったが、低分化型(P=0.0181)の比率が有意に高かった。一方、CCDC62-2タンパクは34/66例(51.5%)で発現陽性であったが、腫瘍径、進行病期、リンパ節転、低分化型においていずれも両群に有意差を認めなかった。われわれはSEREX解析により61の遺伝子を同定し、CCDC62-2、TEKT5、GKAP1を新規の腫瘍マーカー候補として選択してきた。これら抗原に対する抗体産生の有無についてはELISA法を用いて検出を行った。CCDC62-2では調べた309人の癌患者のうち25人、8.1%に抗体が認められた。TEKT5では101人の癌患者うち13人、12.9%に抗体が認められた。GKAP1では238人の癌患者うち14人、5.8%に抗体が認められた。各臓器別では頭頸部癌で12~17%、肝臓癌で9~40%、大腸癌で9~18%、肺癌では0~7%の患者血清において、それぞれの頻度でこれら抗原に対する抗体陽性反応が認められた。健常人血清とは全く反応しなかった。臓器を問わず、複数の抗原が独立して陽性反応を示すことにより、陽性率の高い癌のスクリーニング検査、あるいは診断に応用できる可能性が示唆された。
|