2011 Fiscal Year Research-status Report
顎骨骨幹異形成症の原因遺伝子TMEM16Eの遺伝子改変マウスを用いた機能解析
Project/Area Number |
23792345
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水田 邦子 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40432679)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 遺伝子 / 動物 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
8回膜貫通分子TMEM16E/GDD1遺伝子上の異なった変異が常染色体優性遺伝する顎骨骨幹異形成症(GDD)および常染色体劣性遺伝する肢帯型筋ジストロフィー(LGMD2L)の原因であることを見いだし,以降TMEM16E/GDD1遺伝子産物の機能解析研究を行ってきた.TMEM16E遺伝子産物の生化学的機能やその発症メカニズムは,まだ全く不明で,その機能を明らかにすることは,様々な骨疾患や筋疾患の病態の理解や治療に寄与する可能性がある.平成23年度はTMEM16Eノックアウトマウスを作製しTMEM16Eの生理的機能解析を行ったが,現在のところ明らかな表現型は認められていない.また,TMEM16は遺伝子ファミリー(TMEM16A~K)を形成しているが,TMEM16ファミリー遺伝子産物の機能はこれまで不明であった.2008年にTMEM16Aがカルシウム依存性Cl-チャンネルとして機能する(Schroeder BC et al. ,Cell,2008)ことが, また2009年にはTMEM16Bも同様の機能をする(Stöhr H et al. ,J Neurosci.,2009)ことが相次いで報告された. TMEM16Eノックアウトマウスで明らかな表現型が認められなかったことからも,TMEM16ファミリー遺伝子の代償機能が予想された.in vitroのTMEM16E導入安定株の系で,TMEM16E遺伝子産物はカルシウム添加の有無にかかわらずクロライドチャンネル活性を認めず,他のTMEM16ファミリー遺伝子とは異なった独自の機能を持つことを証明し,現在論文投稿中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作製したTMEM16Eノックアウトマウスには明らかな表現型を認めないこと,また,TMEM16Eタンパクの顕著な不安定性から,その生理学的・生化学的解析の進行に遅れをとっている.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は引き続き,TMEM16Eノックアウトマウスを用いたTMEM16Eの生理的機能解析を行うとともに,筋ジストロフィーの動物モデルであるディストロフィン欠損マウス(mdxマウス)およびディスフェルリン欠損マウス(SJLマウス)を解析し,疾患モデルを確立する.TMEM16E欠損マウスとディスフェルリン欠損マウス(SJLマウス)の筋症状および硬組織を詳細に比較検討し,TMEM16Eとディスフェルリンが構成する細胞膜損傷修復システム欠損によるin vivoの表現型を確立する.また,mdxマウスの筋症状をTMEM16E欠損あるいはディスフェルリン欠損が悪化させることを交配により検定する. in vivoの解析で得られた成果を、in vitroに還元しながら、TMEM16Eとディスフェルリンが構築する膜損傷修復機構の分子メカニズムの全容を知るために生化学的解析を行う.これらの解析により,TMEM16E機能獲得アリルと機能喪失アリルがそれぞれ骨(GDD)と骨格筋(LGMD2)に限局性病変を発症させるメカニズムを解明する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子改変マウスの変異表現型解析が本研究の主たる目的である.変異マウスのバッククロス,ストレイン維持等,研究経費の大部分はマウスの飼育とその管理に費やすことが必須である.分子生物学的研究試薬および培養関連試薬・消耗品費は研究を遂行するために必要不可欠である.また,旅費として国内外で開催される学会参加費,および発表・資料収集するための旅費を計上している.本研究を遂行する上で共同研究グループと密に連絡を取り合うことは必要不可欠である.その他に印刷費用,論文投稿費用,その他雑費を計上している.
|