2011 Fiscal Year Research-status Report
熱ショック転写因子制御による口腔扁平上皮癌に対する分子標的療法の開発
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23792349
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
堀永 大樹 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30379987)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | HSF1 |
Research Abstract |
熱ショック応答は、進化の過程で保存された普遍的な生体防御機構である。この応答を制御するのが熱ショック転写因子HSFである。HSF1は細胞内蛋白質ネットワークを調整することにより腫瘍形成を制御しており、癌の発生や維持において重要な役割を演じていることが報告されている。HSF1に関しては、数は少ないが報告もあり、knockdownの効果はある程度分かっている。HSF2およびHSF4に関しては、メカニズムの解明が始まったばかりである。しかし、in vitroにて双方の遺伝子発現の低さ、knockdown効率の悪さから、今回の実験の1つであるコンビネーションからは除外することとした。しかしながら、HSF2に関してはHSF1と相補的に働くことが分かってきているため、引き続きメカニズムの解明は進める予定である。口腔癌細胞を用いた、CDDP単独、温熱療法単独、熱ショック転写因子をknockdownによる抗腫瘍効果をin vitroで効果判定を行った。結果は、それぞれ単独群では投与量、温度、ウィルス量に依存して細胞増殖能の低下、アポトーシス誘導の増加、細胞浸潤能の低下、細胞遊走能の低下などを認めた。次に、それぞれのコンビネーションを行ったところ、CDDP+HS、HS+KDでは相加効果を認めるも、CDDP+KDでは有意に効果の増強を認めなかった。しかしながら、CDDP+HS+KDの3者併用群では有意に相乗効果を認めた。引き続きHSF1との抗腫瘍効果におけるメカニズムの解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HSF1knockdownによる口腔癌細胞に対する抗腫瘍効果の検討は、当初の予定通り進んでいるが、HSF2、HSF4に関して、口腔癌細胞において遺伝子の発現量およびタンパク量が微量であることから、定量的に検討行うのが困難であり、また、HSF2、HSF4のアデノウィルスの作成に後れを取っていることから、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の目的であった、HSF1knockdownによる口腔癌細胞への抗腫瘍効果の検討は、免疫組織学的検討を加え、CDDP+HS+KDのコンビネーションにおける抗腫瘍効果を検討することで、当初の計画通りとなるため、今後は、in vitroでの研究成果をもとにin vivoにて、HSF1をknockdownするためのアデノウィルスのマウスへの導入方法、至適量を模索し、コンビネーションにおける抗腫瘍効果を検討することで臨床応用へ繋げたい。また、新たに、3種類の癌細胞株においてHSF1をknockdownすることで遺伝子発現量の低下を来す共通する8つの遺伝子をmicroarrayにて同定できたので、HSF1との関係、癌細胞における役割を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アポトーシス誘導キット、免疫染色等のキット、新たに同定された遺伝子の主に抗体などの物品が主となり、in vivoでの実験開始にてヌードマウスの購入を検討。また、23年度にオーダーした抗体が年度内に入荷しなかったため、未使用となっているが、同額で他メーカーの抗体をオーダー済み。最終的には学会での報告、論文への投稿料などに使用。
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