2011 Fiscal Year Research-status Report
鉄イオン遊離に関与する還元物質の解明と酸化ストレスに対する局所麻酔薬の影響
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23792350
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高石 和美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20325286)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 鉄イオン / 還元物質 |
Research Abstract |
生体内で強力な酸化還元力をもつ鉄イオンについて、鉄貯蔵タンパクからの鉄イオン遊離に関与する物質を解明することを目的として以下の実験を行った。<フェリチンからの鉄イオン遊離に関係する電子供与体の解明>1. 20mM phosphate buffer(3ml, pH 7.4)中にフェリチン(2μM)、Batho-phenanthroline(20μM)、NADPH-cytochrome P-450 reductase(10μg)を添加した。さらに、NADPH(100μM)を添加し攪拌後、分光光度計により535nmで吸光度をreal timeで測定した。10分間の吸光度の変化量を求め、ε535 = 22.1 × 10-3/M/cmにより遊離した鉄イオンの濃度を求めた。その結果、10分間で2.71 mMのFe2+が遊離した。さらに、[Fe[CN]6]を含む鎖塩であるフェリシアニドを添加すると,Fe2+遊離は増加した(10分間で8.58 mM)。コントロールにcytchrome-Cを添加すると,Fe2+遊離はより増加した(10分間で34.29 mM)。2. 1の実験系にSOD(10μM)を添加し、遊離鉄イオンを定量した。その結果、Fe2+の遊離に影響がみられなかった(10分間で2.55 mM)。3. 20mM phosphate buffer(3ml, pH 6.4)を使用し、1と同様の実験を行った。pH6.4ではpH7.4と比較して、Fe2+の遊離が増加した(10分間で3.23 mM)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定の実験についてほぼ終了し、現在は確認のため追加実験を行っている。局所麻酔薬が及ぼす影響に関する実験系は、得られた結果をもとに、より生体に近い条件下で行うことが望ましいと判断した。次年度にそれらの実験を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験結果から、NADPH-P450 reductaseによる電子供与が鉄イオンを遊離させることが判明した。さらに、cytchrome-Cおよびフェリシアニドを添加した際に、電子供与が増加し,その結果として鉄イオンの遊離が上昇した。鉄イオンの還元物質の一つである一酸化窒素(NO)産生は、局所麻酔薬により抑制されることが報告されていることからも局所麻酔薬と酸化ストレスの関与が予想される。また、炎症や虚血時の酸化ストレス時のsensitiveな markerの一つにheme oxygenase-1 があげられ、このheme oxygenase-1 mRNA発現はLPSにより誘導される 以上から、今後はLPSで誘導した培養細胞を用いて、NADPH-cytochrome P-450 reductaseがO2-とNO産生に与える影響、および同様の実験系で局所麻酔薬がO2-とNO産生に与える影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は当初より2年と予定していたため、次年度への研究費が生じている。 培養細胞として血管内皮細胞と繊維芽細胞および培養用器具と試薬、10%FBSを購入する。ラット新生児心筋細胞の初代培養を行うため、新生児ラットおよび心筋isolation systemと外科用器具を購入する。一酸化窒素合成酵素発現およびheme oxygenase-1 mRNA発現を検討するため、RT-PCR用試薬と各probeを購入し、RT-PCRを行う。培養細胞からの一酸化窒素(NO)産生は、NO2-/NO3-量をマイクロプレートリーダーを用いて蛍光学的に測定する。
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