2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌術後補助療法における樹状細胞ワクチン療法の有用性に関する検討
Project/Area Number |
23792352
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田野 智之 愛媛大学, 医学部附属病院, 専攻医 (10398026)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 樹状細胞 / 癌免疫 / 口腔癌 |
Research Abstract |
従来、口腔癌は手術療法、放射線療法、化学療法による集学的治療がなされてきたが、その治療成績は決して満足できるものではない。そこで、本研究では従来の治療法に免疫療法を加えることにより口腔癌の補助療法として免疫療法の確立を目指す。すなわち、再発または転移リスクの高い (高悪性度) 口腔癌に対する術後補助療法として樹状細胞(dendritic cell ; DC)ワクチン療法の有用性と安全性を評価し、同時に宿主免疫活性の変化を検討することにより、本治療法の治療効果予測法を確立することを目的とする。被験者から成分採血(アフェレーシス)により単球を採取し、iDC を作製する。また、手術により切除された腫瘍組織の一部を用いて腫瘍細胞溶解液(ライセート)を作製し、iDC と共培養することにより癌抗原を DC にパルスする。その後、OK-432 にて処理することにより DC を成熟させ、自己癌組織パルス DC ワクチンとして被験者に皮内投与する。さらに、アジュバント製剤として OK-432 を同時皮内投与する。治療効果については、造影 CT および PET-CT を用いて評価している。さらに、治療前後の患者由来免疫細胞 (末梢血単核球: PBMC) を用いて、リンパ球数、リンパ球サブセット、サイトカインの誘導、CTL の誘導に関する解析を、手術により切除された癌組織を用いて、ヒト白血球抗原 (HLA) 発現、癌抗原 (Wilms tumor 1;WT1)の発現、免疫細胞浸潤につき検索した。引き続き、実際の治療効果と治療前後の宿主免疫活性の変化に関するデータを集積し、実際の治療効果を比較検討することにより、DC ワクチン療法の効果を予測するバイオマーカーを同定する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究の被験者は、高悪性度口腔癌患者であり、下記の要件を満たすこととしているが、該当患者が少ないため、やや遅れている。(1)手術適応であり、完全切除が可能である。(2)腫瘍細胞溶解液 (ライセート) 作製に必要な自己癌組織が十分量採取できる。(3)再発または転移のリスクが高い。すなわち、切除断端陽性、複数のリンパ節転移、リンパ節被膜外浸潤のいずれかを認める。(4)Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG) の Performance Status (PS) 0~2 に該当する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究成果より、腫瘍特異的免疫療法の口腔癌に対する有効性と安全性が明らかになるとともに、本療法が有効であると予測される患者の選別のためのバイオマーカーにより、適切な治療が行える。さらに、Non-responder に対する対処法についても重要な示唆が得られることが予想され、口腔癌に対する新規治療法として確立すると考えられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成分採血(アフェレーシス)による単核球の採取を行い、DCの調整を行う。また、DC ワクチン接種前後に約 24 ml の採血をバキュテイナ採血管(ヘパリン含有)で行い、PBMC および血漿の採取を行う。血中 Th1 サイトカイン濃度 (IFN-γ,IL-12) を ELISA にて、末梢血リンパ球の細胞障害活性 [NK 活性、lymphokine-activated killer (LAK) 活性] を K-562 および Daudi を標的細胞とした 51Cr 遊出法にて、末梢血リンパ球サブセットを FACS 解析にて、自己腫瘍に対する CTL 活性を患者由来 T 細胞を自己腫瘍組織溶解液で刺激し IFN-γ 産生細胞数を ELISPOT にて算定することにより評価する。同時に、PBMC より total RNA を抽出し、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析とリアルタイム RT-PCR 法にて上記分子の mRNA 発現を定量する。また、癌組織中の癌抗原 WT1 および AURKA の発現を免疫組織化学染色にて確認する。以上の結果と実際の治療効果を比較検討することにより、DC ワクチン療法の効果を予測するバイオマーカーを同定する。
|