2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌術後補助療法における樹状細胞ワクチン療法の有用性に関する検討
Project/Area Number |
23792352
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田野 智之 愛媛大学, 医学部附属病院, 専攻医 (10398026)
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Keywords | 樹状細胞 / Bax / Bcl-2 / PD-1 / PD-Ls |
Research Abstract |
頭頸部癌患者のリンパ球において、pro-apoptotic蛋白Baxの強発現が認められ、T細胞のアポトーシスが誘導されることで、抗腫瘍免疫活性が低下していることが報告された。手術、放射線、抗癌剤あるいは免疫療法剤による治療を施行された79症例において、Bcl-2/Bax比と、再発および後発転移の発生、全生存率ならびに無病生存率との間に有意な関連性を認めた。また、免疫療法剤OK-432を投与した43例のなかで、Bcl-2/Bax比が高値を示す症例において、有意にIFN-γが誘導され、リンパ球のキラー活性も増強した。さらに、DC腫瘍内投与療法を施行された4症例のなかで、Bcl-2/Bax比高値の症例において癌抗原特異的CTLの誘導が認められ、良好な治療効果が得られた。頭頸部癌患者におけるBaxおよびBcl-2遺伝子発現により、患者の抗癌免疫能を評価することができ、有用な予後因子となることが強く示唆された。 PD-1/PD-Ls pathwayは、T細胞のnegative regulatory pathwayとして知られている。PD-1は主としてT細胞に、PD-LsはDCならびに一部の癌細胞に発現しT細胞活性化の抑制に働く。未熟DCをOK-432で成熟させることによりPD-Lsの遺伝子発現は増強した。この成熟DCを5-FUで処理することにより、増強されたPD-Lsの発現は抑制されたが、CDDPまたはGemcitabineで処理した場合はPL-Ls発現の低下は認められなかった。未熟DCとアロT細胞との混合培養によりIFNγが誘導され、成熟DCによりIFNγ誘導の増強が認められたが、成熟DCを5-FUで処理することにより、さらなるIFNγ産生の増強が認められた。5-FU, はDCのPD-Lsの発現を抑制することによりDCのT細胞活性化能を増強することが明らかになった。
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