2011 Fiscal Year Research-status Report
EphrinB2を標的とした脈管新生抑制による口腔癌の制御
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23792353
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
笹部 衣里 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (40363288)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Ephrin B2 / 口腔扁平上皮癌 / 増殖 / 浸潤 |
Research Abstract |
【目的】EphrinB2は多くの癌の進展に関わることが報告されているが、その発現意義については未だ不明な点が多い。そこで口腔扁平上皮癌におけるEphrinB2の発現の意義を臨床病理組織学的観点より検討するとともに、口腔扁平上皮癌細胞の遊走・浸潤能における関わりについて検証した。【材料および方法】口腔扁平上皮癌組織におけるEphrinB2の発現を免疫組織化学染色法にて調べ、腫瘍の浸潤様式、頸部リンパ節および遠隔転移の有無との関連を検討するとともに、株化口腔扁平上皮癌細胞におけるEphrinB2の発現をRT-PCRおよびWestern blotting法にて調べ、EphrinB2の発現と各OSC細胞の特性との関連を比較検討した。さらに、EphrinB2のsiRNAをOSC4細胞に導入し、細胞増殖能、In vitroにおける浸潤能、接着能への影響を検討した。【結果】正常口腔粘膜および口腔扁平上皮癌におけるEphrinB2の発現を免疫組織学的に検討したところ、EphrinB2は正常口腔粘膜では弱い発現しか認められなかったのに対し、口腔扁平上皮癌組織では強い発現が認められた。さらに、その発現は頸部リンパ節転移、腫瘍細胞の異型度、腫瘍浸潤様式と相関しており、EphrinB2高発現群ではカプランマイヤー法による生存率の低下が認められた。これらとともに、EphrinB2のmRNAおよび蛋白の発現は用いた全ての細胞株において認められたが、細胞間に発現差が認められ、高浸潤能細胞株では高発現、低浸潤能細胞株では低発現であった。さらにEphrinB2のsiRNAをOSC4細胞にトランスフェクションしたところ、増殖、浸潤、遊走、接着細胞数は有意に低下した。【結論】EphrinB2は口腔扁平上皮癌の悪性化に寄与する因子であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度計画していた口腔扁平上皮癌および転移性頸部リンパ節腫瘍の臨床材料におけるEphrinB2発現の免疫組織化学的検討は終了した。また、In vitroの系を用いたEphrinB2の機能解析もほぼ終了している。現在は、In vivoの系を用いてEphrinB2の口腔扁平上皮癌の脈管新生への影響について解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はEphrin-B2中和抗体、siRNAによる口腔癌の成長およびリンパ節転移抑制効果の検討を行う。実験方法は6週齢のSCIDマウスの舌に高リンパ節転移能を有する口腔扁平上皮癌細胞株を移植し、腫瘍を形成させた後、Fcを投与するコントロール群とEphrin-B2-Fc投与群に分け、抗体はアルゼット浸透圧ポンプ内に注入しマウス皮下に埋め込み、4週間持続的に投与する。また、コントロールウイルスとEphrin-B2 siRNAアデノウイルスはday 7、9、11、13に腫瘍内に局注する。評価は4週間後に腫瘍を回収し、重さを測定した後、固定し、H&E染色を行ない観察する。その際、腫瘍径、深達度、腫瘍細胞の浸潤様式、周囲組織浸潤、所属リンパ節転移部位、リンパ節転移個数、大きさ、癒着性・節外浸潤、遠隔臓器転移、TNM分類、stage 等の因子について検討を行うとともに、舌腫瘍における血管・リンパ管新生とEphrin-B2の発現については、上述の摘出材料を用いて、臨床材料と同様の染色、計測を行い評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費のほとんどは、免疫染色用試薬、各種抗体、実験動物の購入とウイルスベクター作製に使用し、ごく一部を研究成果発表の経費に使用予定である。
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