2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌におけるタンパク質分解酵素と樹状細胞の役割に関する研究
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23792355
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
梯 裕恵 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30452775)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 樹状細胞 / タンパク質分解酵素 / カテプシンE |
Research Abstract |
われわれは、口腔外科領域で扱う悪性腫瘍(扁平上皮癌、腺腫、肉腫等)に対する樹状細胞の関係について興味深く検索を行っている。近年、悪性腫瘍と樹状細胞とのかかわりに関しての知見としては、進行期悪性腫瘍(悪性黒色腫,腎癌,肺癌,消化器系癌など)に 対して樹状細胞を用いた免疫療法の臨床試験が進んでいる。 また、造血幹細胞や神経幹細胞などの組織幹細胞と同様のシステムによって癌が構成される癌幹細胞説という概念が注目されている。 癌幹細胞とは幹細胞が癌化したものであり、自己複製能、多分化能、造腫瘍能を有し、組織幹細胞と同様にニッチが存在するため強い抗癌剤耐性や放射線耐性を有しており、抗癌剤や放射線治療後の癌の再発の大きな原因となっていると考えられている。したがって、 癌の根治的治療には癌幹細胞をターゲットとした治療の開発が必要となってくる。そこで期待されるのが樹状細胞を用いた免疫療法であるが、まずはターゲットである癌幹細胞のマーカーとなりうるものを発見し、前癌病変を経て癌化する前に治療できないかと考えた。そこで、前癌病変である白板症、また病理組織学的に扁平上皮癌のパラフィン切片を用いて複数の細胞増殖活性マーカーの検索を行ったところ、p63とp75NTRの発現に着目した。今後はその局在と分化型との相関、またin vitroでの両マーカーの発現と機能解析、さらに樹状細胞を用いた免疫療法につながるターゲットをしぼるための解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の所属がH23年4月から変わり、研究体制を整えるのに時間を要している。 また、検体となる組織標本の症例数が少ないことも理由に挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
若干研究内容を変更し、実験の基礎を築く。 (1)免疫組織化学染色法を用いたカテプシンE(CE)の組織内局在の検討 口腔扁平上皮癌(OSCC)患者から切除した癌組織の新鮮凍結標本における樹状細胞(DC)の局在を検討する。 (2) 末梢血からのDC調製法の確立 まずは健常者末梢血からDCを調製し、安定した細胞数の培養系を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の計画が遂行できれば、予定通り、OSCC患者および健常者の末梢血より調製したDCを用いて細胞機能の解析を行う予定である。
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