2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の新規腫瘍拒絶抗原を標的としたペプチドワクチン療法の確立
Project/Area Number |
23792363
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉武 義泰 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (00423682)
|
Keywords | 腫瘍免疫療法 / 口腔癌 / ペプチドワクチン療法 |
Research Abstract |
われわれは治療法が無くなってしまった進行・再発口腔癌患者に対して、なんとか光明を見出すべくペプチドワクチン療法を開発した。開発にあたっては東京大学医科学研究所の中村祐輔教授や熊本大学医学部免疫識別学分野の西村泰治教授とともに数年をかけて解析し、腫瘍特異的に発現する抗原分子を同定し、さらにkiller T細胞を誘導できるペプチド配列も同定した。今回の研究で、われわれは熊本大学医学部の倫理委員会で承認を得たうえで患者に対してペプチドワクチン療法を開始した。まずペプチドの調製だが、これに関しては当院薬剤部にお願いし、抗癌剤の調製と同様に無菌調剤していただくこととした。次に、投与方法を検討した。その結果、始めの8回は1回/週で投与を行い、その時点で投与継続希望がある場合には1回/4週で投与を継続することとした。一方、このペプチドワクチンによって患者の体内に生じた免疫動態を解析するために、4回投与毎に採血を行いPBMCを分離し、-80℃で保存しておき、数回分のPBMCが得られた後に経時的な免疫動態の解析を行った。解析は投与したペプチド毎においても行った。またペプチドワクチン投与によって投与局所に発赤や硬結が生じる症例があるのだが、それが生じた場合と生じなかった場合での生存率の違いや腫瘍の増大までの時間の差などを比較検討した。 われわれの施設においてこれまでに登録された患者は43例であり、その結果に関して現在英論文として発表する準備を進めているところである。その一端を示すと、ペプチドワクチンを投与した進行・再発口腔癌患者群(n=43)と投与しなかった進行・再発口腔癌患者群(n=18)において生存期間を比較してみると、投与を行った患者群の方が有意に生存期間の延長がみられた。一方、再発までの時間には有意差はなかった。
|
Research Products
(6 results)