2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるDKK遺伝子の発現解析と分子標的の開発
Project/Area Number |
23792365
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
曽我部 陽平 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50468104)
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Keywords | エピジェネティクス |
Research Abstract |
口腔癌におけるDKK遺伝子の発現抑制とメチル化との関連を解析する目的で、MSP法に加え、bisulfiteシークエンスによる詳細なメチル化解析を行った。その結果、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞株17株中それぞれ1株(6%)、15株(88%)、2株(12%)においてDKK1、-2、-3のメチル化が見られた。またDKK遺伝子の発現消失とメチル化との間には関連が見られた。 DKKの発現が抑制される事によってWntシグナル経路が活性化され、beta-cateninの分解が阻害されると考えられる。beta-catenin蛋白が口腔扁平上皮癌細胞に高発現している事が確認されたが、今回共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光免疫染色法により15株中14株(93%)でbeta-catenin蛋白の細胞質あるいは核への集積が見られた。一方、同蛋白の細胞膜局在を示したのは15株中7株(47%)のみであった。CTNNB1(beta-catenin)遺伝子のexon3およびAPC遺伝子のexon16にあるmutation cluster regionを、PCR増幅後にダイレクトシークエンスして変異解析を行ったところ、遺伝子変異を認めなかった。MSP法によりCDH1(E-cadherin)遺伝子のメチル化解析を行ったが、すべてのOSCC細胞株でメチル化を認めなかった。 各DKK遺伝子のメチル化と臨床病理学的因子(性別、年齢、TN因子、stage分類、分化度、浸潤様式、喫煙の有無)との関連について統計学的に解析を行ったところ、DKK2遺伝子のメチル化に男女差が見られた。 口腔癌では他のWntシグナル関連遺伝子異常が稀である事から、DKK遺伝子のメチル化がWnt経路活性化の主要なメカニズムの一つであると考えられる。DKKが診断・治療における重要な分子マーカーとなり得る事が示唆された。
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