2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔がんにおけるmicroRNAの抗がん剤抵抗性への関与の検討
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23792369
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山川 延宏 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00526709)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 5-FU / microRNA |
Research Abstract |
平成23年度は、フッ化ピリミジン系の代謝拮抗剤である5-FUおよび白金製剤のシスプラチン(CDDP)は、頭頸部がんをはじめ、様々な固形がんの治療に使用されてきたが、薬剤耐性により十分な治療効果が得られないことがある。近年、タンパク質発現を制御する因子としてmicroRNA(miRNA)が注目されている。本研究は口腔がんにおけるmicroRNAの5-FUおよびCDDP抵抗性への関与を明らかにすることを目的とした。 平成23年度は各種DNA修復酵素欠損Chinese hamster lung fibroblast由来の細胞を用いて、DNA修復経路における5-FUの殺細胞効果を高める標的候補を検討した。Chinese hamster lung fibroblast由来のBRCA2 deficient細胞およびku80 deficient細胞とそれぞれの親株細胞を用、生存率の測定:各種濃度の5-FUを培地中に添加して24時間、37℃処理し、コロニー形成法にて生存率を算出した。また、DNA二本鎖切断量の測定:フローサイトメトリーによって、5-FUによる24時間添加処理後のγH2AX量を経時的に測定し、DNA二本鎖切断量を比較検討した。 結果として、BRCA2 deficient細胞は、5-FUにより約2.5倍の高い殺細胞効果を認めた。また、BRCA2 deficient細胞では、その親株細胞に比べて、5-FU処理によって生じるDNA二本鎖切断の修復遅延も確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がんの代表的な治療法のひとつに化学療法がある。その際、化学療法に抵抗性を示すものがあることが問題となっている。この抵抗性を克服し、がん治療効果のさらなる向上を目指している。 平成23年度は、まずDNA修復経路における5-FUの殺細胞効果を高める標的候補を検討した。 DNA修復経路におけるBRCA2は、5‐FU増感の標的になることを明らかとし、その阻害により5-FUによるより効果的ながん治療の可能性を示唆することができた。標的遺伝子を網羅的に検索をするマイクロアレイは本年度はできなかったが、DNA二本差切断量の測定により標的遺伝子を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
5-FU感受性の異なる細胞に各種抗がん剤を作用させ、miRNAの発現の度合いについてマイクロアレイを用いて明らかにする。発現に差を認めたmiRNAについて、リアルタイムRT-PCR法でmiRNA発現変化を確認して感受性の低下に関連するmiRNAおよび感受性を上げるmiRNAを同定する。 同定した5-FUの感受性をあげる、または下げると考えられるmiRNAの効果を、5-FU 抵抗性口腔がん細胞を用いて確認する。 さらに、5-FU感受性を低下させるmiRNAの効果を抑制する塩基配列を作製し、ベクターに組み込み5-FU抵抗性細胞株内に導入し発現させ、5-FUの殺細胞効果が向上するかどうか検討する。また、感受性を上げるmiRNAの塩基配列を作製し、ベクターに組み込み5-FU抵抗性細胞株内に導入し発現させ、5-FUの殺細胞効果が向上するか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に必要な細胞培養試薬(血清含む)、遺伝子導入試薬、プラスチック器具、ガラス器具、大腸菌、大腸菌培養試薬、Western blot試薬、抗体、マイクロアレイ関連試薬、リアルタイムRT-PCR試薬などの消耗品の購入に充てる。 また、研究成果の発表にも使用予定。
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