2011 Fiscal Year Research-status Report
Trksを標的とした口腔癌の抗血管新生・リンパ管新生療法の試み
Project/Area Number |
23792370
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
上田 順宏 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40571005)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 口腔癌 / Trk family |
Research Abstract |
Trk familyにはTrkA、TrkB、ならびにTrkCが存在し、それぞれニューロトロフィンであるNGF、BDNF、NT3の高親和性受容体である。一般的にTrk familyはoncogeneとして作用すると言われているが、まだまだ議論の余地があるのも事実である。口腔扁平上皮癌材料を用いてTrk familyの発現を免疫組織化学的に検討したところ、正常口腔粘膜ではTrkA、TrkB、TrkCともに発現は陰性ないしはきわめて低いレベルであったが、口腔扁平上皮癌ではいずれも癌の細胞質に強い発現を認めたTrkBの発現は血管新生・リンパ管新生と密接に関与し、TrkCの発現は血管新生・リンパ管新生およびリンパ節転移と有意な相関が確認された。またTrkBないしTrkC発現症例はそれ以外の症例と比較して有意に予後不良であった。また新鮮凍結組織を用いたリアルタイムRT-PCRによる発現解析においても、正常の口腔粘膜と比較して口腔扁平上皮癌においてTrk familyの高発現が認められた。in vitroの検討において、Trk familyは口腔扁平上皮癌において腫瘍促進的に作用し、特にTrkBはVEGF familyを活性化させることによる腫瘍血管新生・リンパ管新生を誘導するのに対し、TrkCはVEGF familyを介さずに口腔扁平上皮癌の腫瘍血管新生・リンパ管新生を直接的に誘導する因子であることが明らかとなった。これらの知見Trk familyが口腔扁平上皮癌の診断・治療標的となり得る可能性を示すものであり、次年度も引き続き解析を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
10サンプルの口腔扁平上皮癌材料を用いたマイクロRNAアレイを外注する予定であったが、qualityの高いマイクロRNAを得ることが出来ず、外注を断念した。しかし腫瘍の進展に関する代表的なマイクロRNAが搭載されたマイクロRNAパネルを購入し、Trk familyの発現調節に関与する可能性のあるマイクロRNAの候補を抽出している。
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Strategy for Future Research Activity |
検体数を増やしてさらにTrk familyの発現解析を継続し、in vitroでの機能解析を行う予定である。またマイクロRNAパネルの結果より得られたTrk familyの発現調節候補となるマイクロRNAの発現・機能解析を重点的に進めると同時に、動物実験を行う予定にしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度同様、発現解析・機能解析のために抗体、リアルタイムPCR関連試薬等を購入する。またTrk familyの発現調節候補となるマイクロRNAの発現解析を行うためにDAKO社製のin situ hybridization用のハイブリダイザーを購入する予定である。また実験動物やレポーターアッセイのキットも購入予定である。
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Research Products
(4 results)