2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔がんに対するMICA遺伝子に関連した新規ペプチドワクチンの同定
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23792371
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
玉置 盛浩 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90382316)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | MICA / 口腔がん |
Research Abstract |
現在、各領域の癌においてさまざまな新規がんペプチドワクチンが開発されており、その中でも進行がん患者に対するHLA class I 拘束性ペプチドワクチンの有効性が報告されている。しかし、口腔がんに対するペプチドワクチンの有効性の報告は少ない。本研究は口腔がんに対してHLA遺伝子と強く相関しているMICA遺伝子に関連した新規ペプチドワクチンの開発することを目的とする。MICA遺伝子はHLA遺伝子の近傍に位置しており、お互いに強く相関している。そのため、すでに臨床応用され、進行がんに対して治療効果を示しているHLA-A24拘束性ペプチドワクチンと同様にMICAペプチドワクチンが同定できる可能性が高いと思われる。さらに、われわれは、口腔がん患者においてMICA-A5.1型遺伝子を有する頻度が高く、さらにA5.1型を有する血清中のMICAタンパク濃度が上昇していることを見出しており、進行がん患者からMICAタンパクの測定が容易であると思われる。口腔がん患者を対象にMICA-A5.1型遺伝子を有する患者を限定して採血し、得られたMICA-A5.1型由来のMICAタンパクからMICAペプチドワクチンを合成する。本研究は以下の5項目を研究期間に明らかにすることを目的とする。1:同意を得た口腔がん患者から静脈血を採取しDNAを抽出する。2:抽出したDNAから全HLA領域における1塩基多型(SNPs)タイピングを行い、口腔がん遺伝子変異を検索する。3:マイクロサテライトマーカーを用いてMICA遺伝子多型解析とHLAタイピングを行う。4:血清成分からELISA法を用いてMICAタンパクの測定を行い、フローサイトメトリー法にてMICA抗体の測定およびペプチドの同定を行う。5:口腔がん細胞上において免疫染色にてMICAタンパクの発現量を測定しCD8陽性T細胞に認識される抗原の同定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で用いる試料収集は、奈良県立医科大学の規定によるヒトゲノム・遺伝子解析倫理委員会で承認されており、インフォームドコンセントを得た後に本疾患患者および健常者より10mlの採血を行っている。また資料提供者から採取した試料の個人情報は、奈良県立医科大学の定めた個人情報管理者により連結可能匿名化措置を行っている。これらの個人情報はコンピューターにより整理され、漏洩しないように厳重に管理される。2, DNA抽出(研究代表者、実験補助員1名)研究協力者が所属する法医学教室において、必要な設備と試薬はすべて現有しており、実験補助員と研究代表者が、末梢血からDNAの抽出を行っている。3, 全HLA領域における1塩基多型(SNPs)タイピング(研究代表者、研究分担者1名)SNPsタイピングのためのprimerは海外研究協力者により作製され、研究分担者が実験補助員とともに法医学教室にて行う。PCR増幅のための設備と試薬は法医学教室に現有している。4, MICA遺伝子マイクロサテライトタイピング(研究代表者)GeneAmp-PCRシステム9700にてMICA遺伝子の膜貫通領域をコードするexon5のマイクロサテライト領域を増幅し、DNAシークエンサーにてマイクロサテライトタイピングを行い遺伝子多型を解析中である。DNAシークエンサーは総合研究施設に現有する。またHLAタイピングも同様に行う。5, DNAを採取した際に発生した末梢血単核球(PBMC)を用いてMICA抗体の測定のためフローサイトメトリー法にてMICA抗体の測定を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である口腔がんに対するMICA遺伝子に関連した新規ペプチドワクチンの同定に関する研究は、口腔がん患者からの末梢血の採血を行い、MICA遺伝子多型の測定、MICAタンパクの測定、同定を行い、MICAA5.1遺伝子に関連したペプチドワクチンの同定を行っている。また、近年報告されている、がん細胞免疫治療の1つである活性化γδT細胞療法の有用性に関して追加検討を行う。γδT細胞は、がん細胞表面に発現しているMICAタンパクを選択的に認識することで、がん細胞排除の役割を果たしている。そのため、活性化したγδT細胞を用いて、口腔がんに対して細胞免疫療法の有用性とMICAタンパクの発現量に関して検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1, 試料収集(採血、がん細胞保管)。2, DNA抽出に用いるDNA採取キット。3, 全HLA領域における1塩基多型(SNPs)タイピングに関する試薬。4,MICA遺伝子マイクロサテライトタイピングとHLAタイピングに関する試薬、プライマー。5, MICA抗体の測定のためフローサイトメトリー法にてMICA抗体の購入。6, 可溶性MICAタンパクの定量をSandwich ELISA法に冠する抗体の購入。7,検体として提出された口腔がん細胞上で免疫染色法を用いて遺伝子タイピングの結果を踏まえて選択的にMICAタンパクの発現量を測定する。8,MICA-A5.1由来のMICAペプチドワクチン抗体作成の費用。9, MICAに関連している活性化γδT細胞を用いたがん細胞免疫治療の有用性に関してがん細胞株を用いた検討の費用。
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