2011 Fiscal Year Research-status Report
電気化学的テロメラーゼ活性測定法を用いた口腔癌診断システムの開発
Project/Area Number |
23792375
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
兒玉 正明 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40423975)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | テロメラーゼ活性 / 口腔癌 / 電気化学的テロメラーゼ活性測定法 / 診断 / 検診 |
Research Abstract |
以前よりテロメラーゼは癌のマーカーとしての応用が期待されているが、簡便かつ迅速にテロメラーゼ活性を調べる方法は今のところない。本研究の目的は、九州工業大学と共同で、電気化学的テロメラーゼ活性測定法を用いた口腔癌を簡便に診断するシステムを開発することである。平成23年度は以下の3項目について検討を行った。(1)現在テロメラーゼ活性の測定に一般的に用いられているTRAP法を用い、採取したサンプル(癌患者の生検組織【組織】、病変部のみをブラシにより擦過し採取した細胞【局所剥離細胞】、口腔内全体をブラシにより擦過し採取した細胞【口腔剥離細胞】)の違いによるテロメラーゼ活性の検出率の差について。(2)前記の3種類のサンプル毎の電気化学的テロメラーゼ活性測時における前処理方法、および反応条件の最適化について。(3)TRAP法と電気化学的テロメラーゼ活性測定法のテロメラーゼ活性検出率について。結果:(1)30名の口腔癌患者にけるTRAP法でのテロメラーゼ活性陽性率は、組織では50%、局所剥離細胞では44.8%、口腔剥離細胞では13.8%であった。(2)では培養癌細胞を用いて電気化学的テロメラーゼ活性法の最適な条件について検討を行い、電流増加率の増加率(cut off値)が28%以上:陽性、18%以上28%未満:±、18%未満:陰性と定義した。(3)電気化学的テロメラーゼ活性法の口腔癌患者のテロメラーゼ活性陽性率は、組織では83.3%、局所剥離細胞では69.0%、口腔剥離細胞では82.8%であり、TRAP法に比べテロメラーゼ活性検出率はどのサンプルにおいても高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のように平成23年度の計画目標はおおむね達成されている。また追加項目として、本研究に対し同意の得られた健常者(非癌患者)の局所剥離細胞(ブラシにて舌を擦過し採取)ならびに口腔剥離細胞のテロメラーゼ活性をTRAP法、電気化学的テロメラーゼ活性測定法を用いて測定した(九州歯科大学倫理委員会にて承認)。結果はTRAP法でのテロメラーゼ活性は、局所剥離細胞では陽性:4.3%、±:52.2%、陰性:43.5%、口腔剥離細胞では陽性:5.9%、±:35.3%、陰性:58.9%であるのに対し、電気化学的テロメラーゼ活性測定法では、局所剥離細胞の陽性:4.5%、±:27.2%、陰性:68.2%、口腔剥離細胞の陽性:0%、±:18.8%、陰性:81.3%であり、電気化学的テロメラーゼ活性測定法の方がTRAP法よりも優れていることが示された。今後もう少し症例数を増やし、前述の電流増加率cut off 値について再検討を行っていく予定であるが、研究は概ね計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
電気化学的テロメラーゼ活性測定法でのcut off値は、電流増加率28%以上:陽性、18%以上28%未満:±、18%未満:陰性と定義しているが、±の幅が10%もあり今後この幅をもう少し狭める必要があると考えている。よって今後は口腔癌患者ならび健常者(非癌患者)の臨床サンプルを蓄積し、cut off値の再検討を行う予定である。また次年度中に外国語論文にて本研究結果を報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度電気化学的診断装置および電気チップを購入予定であったが、口腔癌検診システムへの応用を視野に入れた装置の改良を行っており、次年度購入を予定している。また本研究成果発表を学会及び外国語論文にて報告することを予定している。
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