2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブルを用いた新しい顎関節内遺伝子導入療法の開発
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23792376
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
土生 学 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00360058)
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Keywords | 慢性顎関節炎 / 抗サイトカイン療法 / 超音波遺伝子導入 / ナノバブル / 顎関節炎モデル |
Research Abstract |
申請者は難治性慢性顎関節炎の治療のために抗炎症性サイトカイン発現遺伝子を顎関節局所に超音波遺伝子導入法を用いて直接導入 する方法を検討している.研究の特徴としては,遺伝子の運搬体により直径の小さい超音波造影ガスを封入した新規リポソーム(ナノ バブル:400~500 nm)を応用し,深部組織への導入効率を増強することで,慢性顎関節炎治療に有効なサイトカイン濃度の発現を目 的としている点である. 本年度の計画は1)in vitroの系で滑膜細胞に効率良く抗炎症性サイトカイン発現遺伝子(抗TNF-α抗体発現遺伝子)を導入させる 条件の確立,および2)正常ウサギ顎関節での抗TNF-α抗体発現を確認する,であった. 結果として1)in vitoroにて効率のよい超音波の出力,照射時間,バブルリポソームの混入量,表面抗原(CD44)に対する抗体の 混入比率を検討し,抗TNF-α抗体発現遺伝子の滑膜細胞への導入効率を20%以上となる条件を確立した.しかしin vivoの実験2)に て正常ウサギ顎関節滑膜細胞での抗TNF-α抗体発現は確認されたものの,治療効果の得られる抗TNF-α抗体の顎関節局所濃度1.04×1000 00 M/ml以上の濃度を安定して検出できなかった.これは,関節滑液の採取方法に問題がある可能性があったため,再度採取方法および 検出方法を検討した結果,採取方法検討方法については再現性があり,問題がないことが分かった.これによりin vivoの実験にて治療的効果のある抗体濃度を得るためにはさらに導入効率を上げる方法を検討する必要があることが分かった.今回はさらに導入効率を上げる方法としてナノバブルに付着させる滑膜表面抗体を変更することを検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定としてin vitoroの結果より,in vivo系にて安定した導入遺伝子の発現が得られる予定であった.しかし,導入遺伝子の発現は 認められたものの,サンプルから検出された目的たんぱく質量が予想より安定していなかった.そこで,動物からサンプルの採取方法を検討した結果,希釈式の顎関節滑液採取方法を採用し検証した.これにより従来法による直接採取の方法と比較し,結果の相違は認められなかったことから従来方法の妥当性が証明され,検出の問題ではなく実際の産生されている抗TNF-α抗体が少ないことが考察された.よって治療効果の得られる濃度の抗TNF-α抗体産生には,さらに抗TNF-α抗体発現遺伝子の導入効率を上げる方法の検討が必要となった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の予定として,疾患モデルであるウサギ慢性顎関節モデル上での抗TNF-α抗体発現とその効果を確認することが最大の目的である.昨年度の結果として正常ウサギ顎関節内での抗TNF-α抗体の検出方法の検討により,従来方法の有効性と再現性が確認されたため,本年度は遺伝子導入効率のさらなる向上のためナノバブルに付着させる滑膜表面抗体を変更することを検討し,その上で顎関節炎疾患モデル上での抗炎症性サイトカイン抗体遺伝子導入によ る関節炎の抑制効果を動物の体重変化,関節の腫脹,滑液中の炎症性サイトカイン量,関節の病理組織学的ならびに免疫組織化学的所見にて評価を行うことを目的とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究における設備備品は,既存の備品を使用するが,超音波遺伝子導入装置システムにおける超音波プローブについては,既製の血管用プローブ(KP-6)のオリジナルの改良型(350千円)を新規購入使用する.前年度購入予定であったが,改良予定が大幅に遅れたため,本年度導入予定となった.実験用消耗品,実験動物および飼育費で占められる. 実験用消耗品は実験精度維持のため新規購入の必要があり,550千円程度を見込んでいる.旅費については,国内および海外での学会発表や参加費,滞在費を含み,200千円程度を見込んでいる.
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[Journal Article] Effect of bone quality and position of the inferior alveolar nerve canal in continuous, long-term, neurosensory disturbance after sagittal split ramus osteotomy.2012
Author(s)
Yoshioka,I.,Tanaka,T.,Habu,M.,Oda,M.,Kodama,M.,Kito,S.,Seta,Y.,Tominaga,K.,Sakoda,S.and Morimoto Y.
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Journal Title
J Craniomaxillofac Surg.
Volume: 40
Pages: 178-83
Peer Reviewed
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