2011 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブルと超音波を用いた顎顔面口腔領域の難治性疾患における特異的分子標的治療法
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23792377
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
岩永 賢二郎 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (20448484)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ソノポレーション / ナノバブル |
Research Abstract |
ウサギ膝関節由来滑膜細胞であるHIG-82細胞に超音波発振装置(Sonitron 2000)を用いてpVIVO1-GFP/LacZを導入した。マイクロバブル,またはナノバブル(DSPE-PEG liposome)を併用した。X-gal染色,フローサイトメーターで解析したところ,マイクロバブル群に比べ,ナノバブル群で明らかな導入効果の増強が認められた.in vitroにおいてウサギ膝関節滑膜細胞への超音波による遺伝子導入法の開発の可能性が示唆された. 現在、新たな遺伝子・薬剤キャリアーとして超音波造影ガス(パーフルオロプロパン)を封入した新規リポソーム(バブルリポソーム400~500 nm)を用いているが、同バブルへの抗癌物質の封入については研究を行っているが、現状ではバブルに物質を封入するのが困難である。そこで、ドキソルビシン内包PEGリポソーム製剤であるドキシルに超音波造影ガスを封入し、新規ナノバブルリポソームの作製に成功した。ヒト歯肉扁平上皮癌細胞株Ca9-22においてドキソルビシン封入バブルリポソームと超音波との併用による致死活性効果について調べた。超音波照射96 時間後では,コントロール:100% に対し,ドキシルのみ:89.6%,EDBL のみ:42.8%,超音波のみ:96.1%,ドキシルと超音波併用:84.2% と細胞数の減少を認めた.EDBL と超音波を併用群では3.7% と有意な細胞数の減少を認めた.超音波照射48 時間後では,コントロールと比較し,EDBL と超音波を照射した群のみ細胞質が膨張し,形態的変化を認めた.また,subG1 の著明な増加を認めた.さらに,EDBL と超音波を照射した群で細胞核の断片化を認め,またアネキシン陽性細胞と、アネキシン陽性かつPI陽性細胞の増加が認められた。細胞死がアポトーシスによるものと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の研究実施計画に(1)ナノバブルリポソームによる超音波遺伝子導入装置の導入効率の向上機序の解析。:申請者らはリポソームに超音波造影ガスを封入したナノバブルリポソーム(400~500 nm)(帝京大学薬学部生物薬剤学教室より供与)を用い導入効率を評価した。ウサギ膝関節由来滑膜細胞であるHIG-82細胞で評価したが、マイクロバブル群に比べ,ナノバブル群で明らかな導入効果の増強が認められた.また、新規のドキソルビシン封入バブルリポソーム(Encapsulated Doxorubicin Bubble Liposomes (EDBL))の作製を行い、癌細胞への抗がん剤の導入効率の向上を確認できたため。また(2)各種細胞の細胞表面に高発現している受容体を標的とした細胞特異的導入法の確立。:EGFRに対するモノクローナル抗体産生細胞528細胞から抗EGFR抗体を精製し、歯肉扁平上皮癌細胞株Ca9-22細胞への抗がん剤導入実験にて抗体添加群で明らかな抗腫瘍効果を確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
担癌マウスモデルの確立,維持,抗腫瘍効果の成績評価を行う。すでにヒト扁平上皮癌細胞(Ca9-22 cell)をヌードマウスの背部に移植し,担癌マウスは作製しているが,Ca9-22 細胞をフットパットに移植した担癌マウスを作製し,腫瘍支配動脈である大腿動脈にバブルリポソームとルシフェラーゼ発現プラスミドDNAを投与し,投与と同時に癌組織に超音波を照射する方法で癌組織への遺伝子導入を試みる. 慢性顎関節炎モデル動物の維持,抗炎症効果の成績評価を行う。申請者らは慢性化する顎関節炎のモデルとしてウサギ顎関節における抗原誘発関節炎モデルを開発し,その作製方法は確立済みである. In vitroの検討で決定した条件を参考に,ウサギ正常顎関節に抗CD44抗体結合ナノバブルを併用してソノポレーション法を行い,導入効果を検討し,IL-1raのタンパク発現および抗TNF-α抗体発現を確認する.IL1-ra量,抗TNF-α抗体量をELISA法で測定する.次に,顎関節炎発症の抑制効果を検討するため,ウサギ慢性顎関節炎モデルにおける関節炎誘発と同時にIL1-raおよび抗TNF-α抗体遺伝子導入を行う.関節炎の抑制効果は動物の体重変化,関節の腫脹,滑液中の炎症性サイトカイン量,関節の病理組織学的ならびに免疫組織化学的所見にて評価を行う. 骨延長モデル動物の維持,骨誘導の成績評価を行う。ラット下顎骨延長モデルの作製方法は確立済みである.実験動物を対照群,超音波単独照射群,bFGF発現プラスミド単独投与群,bFGF発現プラスミド投与+超音波遺伝子導入群の四群に分ける.下顎骨体部の骨切りを行い,創外固定延長器を装着する.待機期間の後,0.5 mm/日の割合で骨延長を行う.延長終了後,延長部に対して刺激を加える.以上の経過で延長終了後,安楽死させ,試料を採取する.蛋白の発現とともに骨形成の良否を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種結果測定に必要な機器は現有している。各種細胞を維持するための器具や試薬,担癌マウスを作製するためのヌードマウス、顎関節炎モデルとしてウサギ、骨延長モデルとしてラットなどを動物を購入する.また骨試料を4%パラフォルムアルデヒド中に固定し,マイクロCTにて超微細構造の解析(解像度5μm,(株)クレハ分析センターへ依頼)を行う.また、ファイバータイプ超音波発振装置による関節包内などでの遺伝子導入法の検討するために、市販の超音波発振プローブの購入や細径のプローブなどを同機器のスタッフと試作する。
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[Journal Article] Role of heme oxygenase-1 in inframmatory response induced by mechanical stretch in synovial cells2011
Author(s)
Takao,M., Okinaga,T., Ariyoshi,W., Iwanaga,K., Nakamichi,I., Yoshioka,I., Tominaga,K. and Nishihara,T
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Journal Title
Inflamm Res
Volume: 60
Pages: 861-7
Peer Reviewed
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[Journal Article] Novel histone deacetylase inhibitor exhibits antitumor activity via apoptosis induction in oral squamous cell carcinoma2011
Author(s)
Takahashi,O.,Okinaga,T.,Iwanaga,K., Habu,M., Ariyoshi,W.,Tominaga,K. Nishino,N and Nishihara,T
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Journal Title
Journal of Biophysical Chemistry
Volume: 2
Pages: 215-221
Peer Reviewed
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[Journal Article] A novel modification in combined Le Fort I and horseshoe osteotomy for posterior repositioning of the maxilla2011
Author(s)
Yoshioka,I.,Amit Khanal.,Kodama, M.,Habu,M., Nishikawa,T.,Iwanaga, K., Kokuryo, S., Basugi, A.,Sakoda, S.,Fukuda, J.and Tominaga,K.
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Journal Title
Asian Journal of Oral and Maxillofacial Surgery
Volume: 23
Pages: 172-176
Peer Reviewed
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