2011 Fiscal Year Research-status Report
ミダゾラム鎮静およびフルマゼニル拮抗が脳循環調節機能に及ぼす影響
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23792388
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小川 洋二郎 日本大学, 医学部, 助教 (60434073)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 歯学 / 脳・神経 / 歯科麻酔学 / 静脈内鎮静法 / 脳循環 |
Research Abstract |
申請者が以前に明らかにした「ミダゾラム鎮静は脳循環調節機能を増強させる」という結果を踏まえ,新たに生まれた2つの疑問「I.ミダゾラム投与による脳循環調節機能の増強効果が,拮抗薬であるフルマゼニル投与によって消失するか?」と「II.脳循環調節機能を障害させる状況下において,ミダゾラム投与は脳循環調節機能を改善させるか?」を検討することを目的としている. 2ヵ年の実験計画の期間中,平成23年度は,「ミダゾラム鎮静に対するフルマセニル拮抗時」および「フルマゼニル単独投与時」に,血圧と脳血流速度の自発変動を記録し,その自発変動に周波数解析を施行することで,動的な脳循環自動調節能を評価した. 実験に際し,倫理委員会への申請・承認を得て実施した.また「臨床研究に関する賠償損害保険」への加入手続きを行ったため,当初予定していた被験者数を満たしてはいない.しかし,現時点での結果をまとめると,フルマゼニルが軽度ながら脳血流量を低下させる一方,動的な脳循環調節機能を増強させる可能性が推察される.フルマゼニルによる脳血流量低下は,脳血管抵抗の増加により生じたと考えられる.つまりフルマゼニルは軽度ではあるが脳血管への直接作用を有している可能性がある.さらに,この直接作用が脳血流量を調節するメカニズムのうち筋源性機構に影響を及ぼし,動的な脳循環調節機能の増強を導いたと考えている. 以上の結果をより詳細に検討するため,早期に不足分のデータを取得し,統計学的検討も加え評価する予定である.引き続いて,平成24年度の実験計画に則り.「II.脳循環調節機能を障害させる状況下において,ミダゾラム投与は脳循環調節機能を改善させるか?」の検討実験を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた倫理委員会への申請と共に,「臨床研究に関する賠償責任保険」への加入手続きを行った.賠償責任保険審査により実験開始時期が平成23年10月以降となったため,当初計画していた被験者数を満たしていない.しかし,基金化により平成24年3~4月においても実験を継続実施しているため,随時遅れを取り戻している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,まず未終了である前年度の実験計画「ミダゾラム鎮静に対するフルマセニル拮抗時」および「フルマゼニル単独投与時」のデータ不足分を出来るだけ早期に実施し,平成23年度の実験計画を終了させる. 引き続いて,平成24年度の実験計画に則り,軽度な脳循環調節機能の障害を導く二酸化炭素含有ガス吸入中にミダゾラムを投与し,その際の血圧と脳血流速度の自発変動を記録し,平成23年度と同様に動的な脳循環自動調節能を評価する.その結果,ミダゾラム投与による脳循環調節機能の増強効果が脳循環管理・脳保護の観点からも有効であるか明らかにする. 具体的には,実験説明書を用いて説明し,同意を得た健康成人被験者に,前年度と同様に各種モニターを装着し,十分な安静(最低15分)を取った後,Baselineデータを5分間測定する.その後,鼻カテーテルから「3%二酸化炭素ガス+空気(酸素21%)」を吸入させ,CO2データを5分間測定する.続いて,23年度同様にミダゾラム鎮静を行い,至適鎮静深度(OAAS/S 3)に達した後,CO2+Sedationデータの測定を行う. なお,平成24年度の実験計画はすでに倫理委員会の承認を得ており,また賠償損害保険の補償期間にも含まれているため,前年度のような手続き等による時間経過は生じない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の未使用分を,薬剤・消耗品等の購入や被験者謝金に使用して,平成23年度の実験計画を早期に終了させる.引き続いて平成24年度実験計画に則り,薬剤・消耗品等の購入や被験者謝金に加え,CO2ガスを新規に購入する.また,これらの実験結果を求め,関連学会に発表するため,印刷費や旅費として使用する予定である.
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