2011 Fiscal Year Research-status Report
口蓋形成後の口蓋裂発生メカニズムについてーMEOX2遺伝子に着目してー
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23792394
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
井村 英人 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (10513187)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / 発生 / MEOX2 / 離解 / 遺伝子 |
Research Abstract |
私は、胎生期に口蓋突起が癒合し、口蓋が一旦形成された後に、癒合部が解離して口蓋裂が発症するという従来の概念とは異なる口蓋裂の発症機構を見出し、報告してきた。このような口蓋形成後の口蓋裂発生現象に着目し、マウスで同様の現象を惹起していると報告されているmesenchyme homeobox 2 (MEOX 2) 遺伝子に関して、申請者らの保有するヒト口蓋裂患者の血液試料を用い、同遺伝子の変異を探索して、MEOX2 遺伝子の変異と口蓋裂発症の因果関係を見出すことを目的とする。口唇口蓋裂患者血液試料の中から、口蓋裂患者20例を抽出し、DNA抽出を行った。一方、口蓋裂単独症例の新たな血液資料20例を集めることができた。血液資料60例が収集できたところでシークエンス解析を行う。ヒトMEOX2遺伝子は、ヒト7番染色体短腕部に75.46kbの長さを持つホメオボックス遺伝子で3つのexonからなる。ヒトMEOX2遺伝子の変異に関してNCBIのSNPデータベースにintron部の変異は1039の報告があるがexon部の変異の報告は無い。そこで、3つのexon各々の両端20~27bpをプライマーとする。現在、プライマー設計を行っており、プライマーの配列が適正なものであるかどうかをPrimar 3等のソフトを用いて確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血液資料が順調に収集できているが、プライマーの設計がまだ終了していない。早急にプライマーの設計を行い、シークエンスを行うことが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
更なる口蓋裂患者からの血液資料採取を進めていくことが重要である。口蓋裂単独症例は、年数とともに診察回数が減少することから、定期診察時に、血液採取を徹底することが重要と考える。また、シークエンス解析のため、プライマーが適正であるかどうかを吟味しておく必要がある。exon近傍のintronに変異が起こった場合、スプライシングが阻害される。こうした変異も検出するためダイレクトシークエンスのためのプライマーはintron内に設計する。そこで既に報告されている変異部を避けるために前もって変異の位置を確認する。intron部は変異が蓄積するため、報告されていない変異も多数存在すると考えられ、設計したプライマーでPCR反応が行えるか、条件検討もあわせて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.増幅断片長多型AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)解析バンキングされている血液試料よりDNAを抽出し3組のプライマーセットでPCR法により増幅し、PCR産物をエチジウムブロマイド含有バッファーを用いて電気泳動後、UVイルミネーターにて観察、写真の撮影を行い正常者由来のPCR産物と口蓋裂患者由来のPCR産物を比較解析する。2. 制限酵素断片長多型RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)解析MEOX2遺伝子のexon内には Nde I, Sac Iなど汎用される制限酵素で切断される部位が多数存在する。exon部のPCR産物を1種または2種の制限酵素の組み合わせで切断し、電気泳動を行って制限酵素認識部位の変異の有無を解析する。併せて、サンプル収集も行う。MEOX2遺伝子の各exon近傍のintron部に設定した5つのプライマーセットを使用し、まず蛍光標識の無い通常のdNTPを用いたPCR反応を行い、その産物をアガロースゲルにて電気泳動して確認する。PCRによる増幅を確認した試料から順次、蛍光標識したA,T,G,Cダイデオキシヌクレオチド(ddNTP)を用いるdye terminator labeling PCR反応を行いPCR増幅産物のサイクルシークエンスにより塩基配列を決定する。塩基配列の決定にはDNAシークエンサー(ABI 3130 Genetic Analyzer)を使用する。また、変異を確認した症例で変異がどのexonに存在するのか、その変異はheterozygousな変異か、LOH変異か、さらに変異の種類(塩基が置換しているのか、欠失あるいは複製しているのか、その結果どのような変異が最終産物であるMEOX2タンパク質に現れるのか)を検討する。
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