2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌細胞におけるEMTマーカーとしてのZyxinの発現および機能について
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23792399
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
瀬川 英美 兵庫医科大学, 医学部, 研究生(研究員) (00553778)
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Keywords | Zyxin |
Research Abstract |
上皮・間葉移行(Epithelial-mesenchymal transition:EMT)は,密に結合している上皮細胞が極性を失って運動性の高い間葉系細胞の形質を獲得する現象であり,癌細胞の浸潤,転移との関連性が注目されている.上皮細胞は、細胞間接着構造を介して互いに結合しており,adherence junctionではcadherinが互いに結合してactinと共に接着構造を構成している.Actin重合促進タンパクであるZyxinは,アクチン重合と再構成を促進することにより,癌細胞自身の形態や運動性を変化させることからEMTへの関与が示唆されている.本研究は8種類の口腔ヒト扁平上皮癌培養細胞を形態別に分類し,Zyxinの発言および機能について解析することを目的とした.8種類の口腔扁平上皮癌細胞株におけるEMT マーカーの検討により,細胞形態が紡錘型に移行するにつれてE-cadherinの発現が低下しN-cadherinとZyxinの発現が上昇したことから細胞接着が消失し上皮としての性質が失われることが確認された.また,Zyxinの発現をsiRNAを用いて抑制することにより,細胞の形態が変化するとともに増殖能,運動能および浸潤能が抑制されたことから,Zyxinはactin重合および再構成を促進し,癌細胞自身の形態を結合組織内の移動に有利な状態に変化させることが示唆された.SiRNA処理したHOC-313において,Zyxinによる細胞内actinの重合促進が細胞骨格再構成と運動の亢進に関わるか否かをRho familyタンパク発現にて検討したところ,CDC42, Rac-1において若干の発現抑制が認められ,さらにRac inhibitorを作用させるとZyxinの発現量が減少したことにより,Zyxinの発現はフィロポデイアおよびラメリポデイア形成に関与することが示唆された.
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Research Products
(1 results)