2011 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患の分子病理学的検討
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23792404
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Research Institution | Ogaki Women's College |
Principal Investigator |
佐久間 英規 大垣女子短期大学, 歯科衛生科, 准教授 (60453065)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患 / 免疫グロブリン遺伝子 / 慢性硬化性唾液腺炎 / 自己免疫性膵炎 / シェーグレン症候群 / 慢性唾液腺炎 / VH family / mutation |
Research Abstract |
IgG4関連多臓器リンパ増殖性疾患(IgG4+MOLPS)は、日本発の疾患概念である。本研究はさらに免疫グロブリン遺伝子を分子病理学的に解析することによってIgG4+MOLPSが自己免疫の特徴を持つのかを明らかにすることが目的である。研究項目は(1)IgG4+MOLPSの選択される免疫グロブリン遺伝子クローンの比較、体細胞変異率の比較(2)自己免疫疾患に特徴的なRF因子を免疫グロブリン遺伝子可変領域で明らかにする(3)制御性T細胞の解析を予定した。本年度においては、(1)IgG4+MOLPSの選択される免疫グロブリン遺伝子クローン、体細胞変異率の比較を中心に行った。対象疾患は、慢性硬化性唾液腺炎、自己免疫性膵炎、コントロール疾患群として、シェーグレン症候群、慢性唾液腺炎、慢性膵炎を行った。それぞれのパラフィン包埋切片よりDNAを抽出しておこなった。慢性硬化性唾液腺炎、自己免疫性膵炎、シェーグレン症候群の免疫グロブリン遺伝子クローンの比較、体細胞変異率の比較においては、選択されるVH familyは、VH3 familyであった。慢性唾液腺炎、慢性膵炎も同様な結果であった。優先的に選択されるクローンは認めなかった。体細胞変異率に関しては、自己免疫性疾患のシェーグレン症候群、慢性硬化性唾液腺炎、自己免疫性膵炎は、慢性炎症疾患群の慢性唾液腺炎、慢性膵炎と比較して低率であった。IgG4+MOLPSの慢性硬化性唾液腺炎、自己免疫性膵炎に関しては何らかの免疫機序の関与の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当年度に計画した(1)IgG4+MOLPSの選択される免疫グロブリン遺伝子クローンの比較、体細胞変異率の比較の検討であるが、慢性硬化性唾液腺炎、自己免疫性膵炎、シェーグレン症候群、慢性唾液腺炎、慢性膵炎の症例ののシークエンスデータをそろえることができた。一部、肝臓、胆嚢疾患の解析は次年度に予定する。解析においては選択されたVH family、クローン、体細胞率の検討が順調に行われた。(2)自己免疫疾患に特徴的なRF因子を免疫グロブリン遺伝子可変領域で明らかにする検討では、慢性硬化性唾液腺炎、シェーグレン症候群の疾患群で予備的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして、(1)CDR3領域でのRF因子の検索を行っていく。(2)研究対象疾患のパラフィン切片を用いてIgG4の免疫染色を行い、その陽性形質細胞と陰性形質細胞をそれぞれレーザーマイクロダイゼクッション法を用いて採取する。1症例あたり採取回数を500回以上予定している。フェノール・クロロホルム法を用いてDNA抽出し、CDR2, FWR3, CDR3領域の解析を行えるようにプライマーを設計し、semi-nested PCR法にて増幅し、精製産物を用いてサブクローニングを行い、最終的にサイクルシークエンスPCRを行いDNAシークエンサー(ABI 3100)を用いて遺伝子配列を決定する。決定した遺伝子配列は、NCBIのImmunogloblin BLAST(のデータベースより得られるgermline配列と得られた可変領域配列(CDR3, FWR3, CDR3領域)を平成23年度に行った方法で解析を同様に行い得られた結果と比較する。IgG4+MOLPSの選択される免疫グロブリン遺伝子クローンの比較、体細胞変異率の比較の検討の一部終了できなかった肝臓、胆嚢のIgG4+MOLPS疾患のシークエンスを次年度に行う予定である。肝臓、胆嚢疾患が終了していなかったために、シークエンス関連試薬の購入を行わなかったために次年度繰越金が生じた。また結果発表も次年度の学術集会にしたために繰越金が生じた。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、計画通りに研究を行い、研究試薬購入(シークエンス関連試薬、免疫染色抗体試薬など)や消耗品の購入など予定通りおこなっていき予定通りに研究費を使用する計画である。また次年度に繰り越した研究費のうち、物品費に関しては次年度交付分と合算して使用するが、増加分は本年度に行えなかったシークエンス解析のための試薬代、プラスチック消耗品の購入に使用する予定である。また旅費関係経費は、次年度に発表を延期した分に使用する予定である。
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[Journal Article] Analysis of VH gene rearrangement and somatic hypermutation in type 1 autoimmune pancreatitis2012
Author(s)
Okumura F, Sakuma H, Nakazawa T, Hayashi K, Naitoh I, Miyabe K, Yoshida M, Yamashita H, Ohara H, Inagaki H, Joh T.
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Journal Title
Pathology international
Volume: 62
Pages: 318-323
DOI
Peer Reviewed
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