2013 Fiscal Year Annual Research Report
口腔遺伝性疾患ならびに非症候性多数歯欠損症例の網羅的解析
Project/Area Number |
23792406
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴田 みゆき 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (80507442)
|
Keywords | 口腔遺伝性疾患 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
口腔内の遺伝性疾患についての情報不足から、歯の形成不全を原因不明の全身的・局所的要因によるものとして対処されることが非常に多い。また、遺伝的要因を疑う症例であっても、設備不足や遺伝子解析可能な施設との連携がとれず、確定診断に至らないケースが多かった。一般歯科臨床においても遺伝性を疑う症例に遭遇することは稀ではなく、審美的・機能的障害を伴う歯の形成異常や先天欠如は早期の診断・治療が重要となってくる。口腔遺伝性疾患の発症パターンと原因遺伝子の相関が明らかになれば、発症機序の解明や新しい診断システムの開発が可能になる。 本研究期間では日本大学歯学部小児歯科で検出された遺伝性多数歯欠損症を疑う一家系に対し、病因遺伝子同定を目的とした解析を中心に行った。2001年出版のオックスフォード出版の頭頸部疾患に関する教科書には第三大臼歯を除く永久歯1~6歯欠損をHypodontia、6歯以上にわたる欠損をOligodontiaと定義し「6歯以上の欠損が認められた場合、遺伝学的なバックグラウンドがある可能性が強い」と記載されており、本症例もその範疇にあった。本症例は昨年度同一家系内の発症者/非発症者を対象としたPAX9ならびにMSX1解析を行い、病因との関連を疑う変異は検出されなかった。しかしながら、PAX9に発症者のみに共通してExon2を挟む両Intronに(-41A→G, +41G→A)、Exon3に(239CAC(His)→CAT(His))の塩基置換を検出した。最終年度にはこの検出された一塩基置換をデータベースをもとにコンピューター解析を行った。さらに、現在まで病因遺伝子変異が同定された血縁関係のない家系に対しても再検討したところ、興味深い遺伝子多型を検出し、その関連について検討を重ねている。
|