2011 Fiscal Year Research-status Report
発達期における摂食機能の神経制御機構についての組織学的解析
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23792407
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 昇平 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00374546)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 摂食機能 / 発達 / 神経制御 |
Research Abstract |
当初の計画では実験動物としてラットを使用する予定であったが、免疫組織化学に使用できる抗体の種類が多い事や遺伝子組み換え技術が発達している事を考慮し、マウスを実験動物として使用する事にした。吸啜行動をさせた生後3日のマウス脳幹部においてc-fosを発現しているニューロンを調べた。吸啜行動をさせた仔ラットの延髄脳幹部でのc-fosを発現しているニューロンについてはすでに報告がある。その仔ラットでの報告と同様に、吸啜行動をさせた生後3日のマウスには孤束核、延髄網様体、三叉神経脊髄路核にc-fosを発現しているニューロンがみられた。さらに、これまで報告のなかった最後野、三叉神経中脳路核、傍小脳脚核、三叉神経運動核周囲の橋網様体にもc-fosを発現しているニューロンがみられた。吸啜行動をさせた生後6日のマウスの脳幹部では延髄網様体においては生後3日のマウスとくらべ、腹側領域にc-fosを発現しているニューロンが多くみられた。三叉神経脊髄路核においても同様の傾向がみられ、腹側領域にc-fosを発現しているニューロンが多くみられた。さらに生後3日ではみられなかった、縫線核、下唾液核にもc-fosを発現しているニューロンがみられた。生吸啜行動をさせた後12日のマウスの脳幹部ではc-fosを発現しているニューロンは減少しているようであった。このように摂食機能の発達期において脳幹部のc-fosを発現しているニューロンに変化がみられる事は、摂食機能の発達期に摂食機能の神経制御機構になんらかの変化がおきていることを示唆している。 また、舌下神経核への標識物質の注入を試みているが、適切な注入位置、標識物質の量がまだ決定できず、現在検討中である。感覚入力の神経標識は現在、眼窩下神経を標識する事によって吸啜時の上唇部への感覚入力が脳幹部のどこに投射しているかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経標識を用いての、吸啜運動に関わる運動ニューロンのpremotor neuronの同定、摂食機能に関わる感覚入力を担う三叉神経とその2次ニューロンの同定が遅れている。当初の計画では実験動物としてラットを使用する予定であったが、免疫組織化学に使用できる抗体の種類が多い事やや遺伝子組み換え技術が発達している事を考慮し、マウスを実験動物として使用する事にした。そのため、標本が小さくなり、神経標識物質を脳幹部に注入する手技が難しくなり、適切な条件設定に時間がかかってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経標識を用いての、吸啜運動に関わる運動ニューロンのpremotor neuronの同定、摂食機能に関わる感覚入力を担う三叉神経とその2次ニューロンの同定を可及的速やかに行い、当初の計画通りに研究を遂行していきたい。 万が一、神経標識をもちいて吸啜運動に関わる運動ニューロンのpremotor neuronの同定、摂食機能に関わる感覚入力を担う三叉神経とその2次ニューロンの同定がうまくいかない事も想定される。その場合には、摂食機能の発達期における脳幹部のc-fosを発現しているニューロンの変化(c-fosを発現しているニューロンの領域の変化や、c-fosを発現しているニューロンが発現している他の分子の変化)を解析する事によって、発達期における神経制御機構の解明に寄与できると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額については平成24年3月に物品費として使用済みである。次年度も実験動物、薬品などの消耗品に費用がかかり、調査研究旅費、成果発表等の旅費も必要となる。
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