2011 Fiscal Year Research-status Report
内軟骨性骨化と下顎頭軟骨のメカニカルストレス応答におけるOdz3の機能解析
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23792411
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹下 信郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50431515)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Odz3 / CTGF / 内軟骨性骨化 / 下顎頭 |
Research Abstract |
脊椎動物の骨格のほとんどは内軟骨性骨化はによって形成されるが、その制御機構の全容は未だ明らかとなっていない。Odz3は、下顎頭および長管骨の軟骨と軟骨細胞様細胞株ATDC5において発現すること、ノックアウトマウスで骨格異常が認められることから、軟骨分化への関わりが示唆されるが、その詳細は不明である。本研究は、Odz3が内軟骨性骨化を制御する因子であると推論し、その機能解析を行う。 マウス由来軟骨細胞様株ATDC5の軟骨細胞分化過程におけるOdz3F発現パターンをリアルタイムPCRにより定量的に解析した。その結果、Odz3は培養初期に高い発現を示し、経時的に発現は減少した。一方、軟骨細胞分化を促す転写因子であるSox9および、軟骨基質であるtype II collagenとaggrecanは培養用初期には低い発現を示し、経時的に発現は上昇した。この結果から、Odz3は軟骨細胞分化の初期の段階で強く発現し、分化の制御に関与することが示唆された。今後、in vivoでの軟骨発生過程におけるOdz3の発現解析と、in vitroにおけるOdz3発現抑制が軟骨細胞分化に及ぼす影響の解析を行うことにより、内軟骨性骨化ににおけるOdz3の機能を明らかにし、得られた成果を論文発表する予定である。 当該年度に得られた成果により、in viroでの軟骨細胞分化過程におけるOdz3の定量的な発現様式が明らかとなり、軟骨細胞分化におけるOdz3の機能の推論が可能となった。これらの成果は、今後の機能解析の方向性を具体的なものとする点で意義がある。また、今後得られる成果と併せて、軟骨形成不全症、Apert症候群などの先天性骨系統疾患や、顎関節のみならず全身関節の変形性関節症の発症メカニズムの解明、およびそれらの新規治療法の開発へとつながる可能性があり、人類の健康増進に寄与する点で大きな意義を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レンチウイスルベクターを用いたOdz3のRNAiの至適条件の検索に、当初予定より時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後以下の以下の計画で研究を推進する。1.胎生期の内軟骨性骨化の過程におけるOdz3とCTGFの発現パターンの変化を解析するため、胎生12.5、15.5、および18.5日マウスの大腿骨部の組織切片を作製し、in situ hybridizationによりOdz3とCTGF、および間葉系細胞マーカーtype I collagen、各種軟骨細胞マーカーtype II collagen、 Indian hedgehog (IHH)、 およびtype X collagenの発現パターンを比較検討する。3. Odz3 siRNAをコードしたレンチウイスルを、ATDC5に感染させる。細胞からトータルRNAおよびタンパク質を精製し、リアルタイムPCRおよびウエスタンブロットによりOdz3発現のノックダウンを確認した後、それらの試料を用いて1.で解析した各種マーカーの発現への影響を解析する。また、軟骨基質産生への影響を、アルシアンブルー染色により評価する。4. Odz3発現ベクターをATDC5に遺伝子導入する。遺伝子導入細胞のセレクションを行った後、得られた細胞を軟骨細胞分化培地を用いて培養する。細胞からトータルRNAおよびタンパク質を精製し、リアルタイムPCRおよびウエスタンブロットによりOdz3の過剰発現を確認した後、それらの試料を用いて1.で解析した各種マーカーの発現への影響を解析する。また、軟骨基質産生への影響を、アルシアンブルー染色により評価する。5. 10週齢雄性ラットの下顎頭に外科的にエラスティックバンドを装着し、同部への120 gの圧迫力を7日間負荷する。4% パラホルムアルデヒドを用いて灌流固定した後に顎関節部を摘出し、通報に従いパラフィン包埋する。組織切片を作製して、H-E染色、トルイジンブルー染色、in situ hybridizationによる解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度直接経費1500千円のうち、実験動物購入に100千円、各種in vivoとin vitroの実験に用いる試薬購入に800千円、実験器具購入に300千円を物品費として計上し、成果発表旅費100千円と調査研究旅費100千円をとして計上し、その他として研究成果投稿料100千円を計上した。
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