2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト脳機能の咀嚼運動制御の解明:脳機能画像と咀嚼筋活動・咬合力との同時計測の試み
Project/Area Number |
23792419
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
宮本 順 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (10451949)
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Keywords | 咀嚼 / 口腔 / fMRI |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト脳機能の咀嚼運動制御に関して、機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging: fMRI)を用いて解明することである。咀嚼運動に限らず運動制御における大脳皮質の役割を調べるためには、その脳活動が何に起因するかを特定するため、運動条件を規定して研究を行うことが必須である。しかしながら、咀嚼運動制御に関するfMRI研究においては、MR環境下という特殊な実験環境に制限され、脳機能活動測定と咀嚼運動中の咬合力や咀嚼筋活動の測定を同時に行ったものは皆無であった。これらの同時計測が達成された場合、咬合力や咀嚼筋活動の条件を規定することが可能となるため、変動するパラメータを減らし、結果の解釈に主観的要素が介入することを防げるという意義がある。 そこで平成24年度は、「咬合力依存性の大脳皮質賦活部位の検索」を目標に、咀嚼運動中のfMRI-筋電図の同時計測したデータの解析、特に筋電図データの解析方法の改良を行った。しかしながら、該当部位の存在を結論づけるには至っていない。 さらに臨床応用できる研究計画として、「咬合状態の改善が四肢筋力に与える影響の同定を行う」ことを目標にし、第一段階として、咬みしめの有無により握力発揮時の脳活動が変化するかを検討した。 研究の成果としては、咬みしめ単独施行時、握りしめ単独施行時と比較し、咬みしめと握りしめ同時施行時では、脳賦活強度が有意に大きくなる脳部位が存在するという結果が得られ、咬みしめが握力発揮時の上肢筋促通に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咬みしめの有無により握力発揮時の脳活動の検索においては、第23回日本スポーツ歯科医学会総会・学術大会にて学会発表を行い、日本スポーツ歯科医学会研究奨励賞を受賞した。また現在、その結果を国際学術誌に投稿中であり、おおむね順調な進展だったと考えられる。 また今年度は、fMRI-筋電図同時計測で得られた筋電図データの処理方法を改良し、そのデータを脳賦活部位解析のパラメータとして用い、咬合力依存性の大脳皮質賦活部位を同定する予定であった。筋電図データの処理方法は改良を行い該当箇所の検索を行ったが、その存在に関して結論づけるには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究的な観点からの研究を遂行・完了するため、咬合力依存性の大脳皮質賦活部位に関して、引き続き解明していく。その対応策としては、筋電図データの解析方法をさらに改良し、そのデータを脳賦活部位解析のパラメータとして用いる予定である。 また、臨床応用できる研究課題である「咬合状態の改善が四肢筋力に与える影響の同定」に関しては、実験および解析を終了し、現在国際学会誌に投稿中であるため、次年度の論文刊行を予定している。 さらに、「前歯/臼歯部咬合の違いによる咀嚼運動時の神経機構の同定」を目標とし、データ解析および論文発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず物品費として、①データ保存用ハードディスク、②視覚提示用ソフトウェア等に研究費を使用する予定である。①に関しては、fMRIおよび筋電図の同時計測を行うと、一人の被験者につきおよそ500枚のMR画像データと、サンプリング周波数1000Hzで4箇所の咀嚼筋からの筋電図データがおよそ45分間相当分得られる。そのデータ解析上、元データに処理をかけた分データが倍増していくため、保存するハードディスクが必要不可欠なものである。②に関しては、実験中被験者にタスクを与えるためには、MRマシーンの稼動と時間的に統一された指示を与える必要がある。そのためには専用の視覚刺激ソフトが研究期間を通じて必要となる。 さらに、研究調査・打ち合わせ、また研究成果の発表等の旅費として、研究費を使用することも必須であると考えられる。 次年度は、現在国際学会誌に投稿中の論文の刊行を完了する予定のため、英文校正料や印刷費なども必要不可欠であると考えられる。 なお、今年度研究費のうち次年度に使用予定の研究費が存在するが、これは消耗品であるバイトブロック製作用シリコンパテやプラスチックプレートの買い足しが必要なくなったためである。
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Research Products
(9 results)