2011 Fiscal Year Research-status Report
感染性心内膜炎発症高リスク者の有する口腔細菌におけるアモキシシリン感受性の検討
Project/Area Number |
23792425
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根本 浩利 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (80527226)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 感染性心内膜炎 / 先天性心疾患 / 術前投与 / アモキシシリン / デンタルプラーク / ペニシリン結合タンパク / 口腔レンサ球菌 / 抗生物質耐性菌 |
Research Abstract |
健常な成人120名から唾液およびデンタルプラークを採取し、高濃度のアモキシシリンを含有したレンサ球菌選択寒天培地に播種し、培地上に発育したコロニーをピックアップした。その菌株からゲノムDNAを抽出し、16S rRNAをPCR法で増幅した後、その遺伝子配列を決定し、データベース上の各種細菌の16S rRNA配列と比較することで菌種を特定したところ、成人を対象とした患者120名のうち5人(約4%)から7菌株が分離された。その内訳は感染性心内膜炎の起炎菌とされるStreptococcus sanguinis (6 症例)、Streptococcus oralis (1 症例) であった。さらに、米国標準化委員会 (Clinical Laboratory and Standards Institute; CLSI 2006) の方法を用いて、分離した菌株のアモキシシリンに対する最小発育阻止濃度を決定したところ、これまでに分離された小児・思春期における対象において分離されたアモキシシリン耐性口腔レンサ球菌種と同様にアンピシリン、ペニシリン、エリスロマイシンなど他の抗菌薬に対しても高い耐性を示す傾向があることが明らかとなった。また、アモキシシリン耐性菌株が分離された対象において2~3ヶ月の期間をあけて再度サンプリングを行いデンタルプラークの口腔細菌の分析を行った結果、その菌株の全体に占める割合は極めて低いことが明らかとなった。一方で、小児・思春期における対象において分離されたアモキシシリン耐性口腔レンサ球菌種ではレボフロキサシンに対して感受性を示したが、成人から分離されたアモキシシリン耐性菌株ではレボフロキサシンに対しても耐性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アモキシシリン耐性菌を調査して行く上で,クリンダマイシンに感受性があるかどうかを先に検討しておく必要性が生じたため,当初の計画よりやや遅れていたが,年度末時点で遅れを取り戻しつつあると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
アモキシシリン耐性菌を調査して行く上で,クリンダマイシンに感受性があるかどうかを先に検討しておく必要性が生じたため,当初の計画より若干の遅れが生じたが,遅れを取り戻しつつある.今後は,研究開始当初に想定した次年度の予定通りに遂行していきたいと考えている.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度完結できなかったアモキシシリン耐性菌の分離および菌種の特定を行う上で,必要な培地および分子生物学的分析に必要な試薬の購入に充てる.
|