2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792431
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木内 奈央 徳島大学, 大学病院, 助教 (30457329)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | RNAi / 骨格筋 / コラーゲン |
Research Abstract |
本研究では、骨格筋量抑制因子マイオスタチンを標的遺伝子とし、これまで有効性が確認されているアテロコラーゲン(ATCOL)の代替として、より安価で安全供給の確実性の高い特殊コラーゲン(SYCOL)を併用したRNAi効果を検討することを目標とした。In vitroにおいて、Luciferase恒常発現B16-F10-luc-G5メラノーマ細胞にLuciferase-siRNA、scramble-siRNAをトランスフェクションし、各細胞のLuciferase活性を測定した。In vivoでは野生型雄性マウス(C57BL/6)の左右咬筋にSYCOLを用いてMst-siRNA、scramble-siRNA を局所投与し、2週間後の筋重量を測定した。また、対照群(scramble-siRNA導入群)あるいはMst-siRNA導入群、それぞれ筋最大直径部における切片のHE染色から筋断面積を計測した。結果、siRNA/SYCOL導入した細胞でのLuciferase活性はSYCOLのみ導入した場合に比べ有意に減少しており、その抑制レベルはsiRNA/ATCOLを導入した場合とほぼ同等であった。またMst-siRNA導入した咬筋の筋重量、筋断面積は対照群に比べマイオスタチンの発現レベルの減少とともに有意に増加していた。本研究結果より、特殊コラーゲン(SYCOL)を併用したマイオスタチン特異的siRNAの導入は個体レベルにおいても局所の骨格筋量の調節に有用である可能性が示唆され、将来的に慢性遺伝性筋疾患に対する新規治療法の開発につながるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、すでに高い導入効率が確認されているアテロコラーゲンと比較しながら特殊コラーゲンを併用したsiRNAの導入法を確立すること、さらにはこの特殊コラーゲンを併用して骨格筋量抑制遺伝子であるマイオスタチン特異的siRNAを筋ジストロフィーモデルマウスに導入し、マイオスタチン遺伝子の発現抑制がマウス骨格筋量に及ぼす影響を解析し、in vivoにおけるsiRNA導入剤としての特殊コラーゲンの有効性について検討することを目標としていた。現段階では、野生型マウスを用いた実験ではその有効性について検討済みであるが、筋ジストロフィーモデルマウスにおいては検討中である。加えてテレメトリーシステムを用いて、筋ジストロフィーモデルマウスの筋張力を測定し、筋機能の回復度を評価する予定であったが、siRNAを用いた実験系では重要となるsiRNAの導入効率の検討や導入技術の獲得に少し時間を要したため、今後の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究結果より、特殊コラーゲンを用いたマイオスタチン特異的siRNAの有効性は高いことが示唆されるが、実用化に向けては今後細胞増殖ならびに筋分化に与える影響をさらに検討するとともに、筋ジスモデルマウスを用いて同様の実験を行い筋機能の回復について筋電図等による筋活動評価を行い解析していく必要があると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウス骨格筋の生化学的解析としてマイオスタチンに対するRNAiによる筋分化への影響を検討するため、採取した組織よりtotal RNAを抽出し筋分化マーカーであるMyoDファミリーに属する遺伝子(MyoD, myogenin)の発現レベルをリアルタイムPCRを用いて解析する。また繰り越し分についての使用計画としては、前年度行う予定であった野生型あるいは筋ジスモデルマウスの背部にテレメトリーシステムを埋め込むとともに送信機につながった記録用針電極を咬筋、大腿四頭筋に刺入して1週間の記録(control data)をとった後、siRNAの全身投与を実施し約3週間終日筋電図を測定して筋機能の回復度を検討する予定である。
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