2011 Fiscal Year Research-status Report
新規骨代謝制御分子の歯槽骨リモデリング機構における役割
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23792434
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 絢子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 特別研究員 (10432923)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | PRIP / 骨代謝 / 歯牙移動 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 矯正力 |
Research Abstract |
当研究室において、細胞内情報伝達の一つであるイノシトールリン脂質 (PI) 情報伝達系において、新規のIns(1,4,5)P3 結合蛋白質を見いだした。本分子は、ホスホリパーゼC―d1(PLC-d1)と類似したドメイン構造構造を持っているがPLCの酵素活性は持っていなかった。我々はこれらをPRIP[phospholipase C (PLC) related inactive protein]と名付けた。PRIP欠損マウスを作成し、その解析の過程で、野生型に比べ破骨細胞・骨芽細胞が共に多く、海綿骨の骨量が増加している事から、骨代謝の亢進により骨量が増加していると考えられている。矯正力によるメカニカルストレスにより、歯根膜腔の未分化間葉細胞が骨芽細胞へと分化し、種々の因子を発現することで歯槽骨のリモデリングが活性化され、歯が移動する。 本研究では、骨代謝制御に関わる新規分子PRIPについて、骨リモデリングにおける役割を解明することにした。 PRIP-KOマウスおよび野生型マウスの前歯部を固定源として、クローズドコイルを用いて臼歯部を近心移動させ歯牙移動マウスを作製した。これらのマウスを用いて、in vivo X線マイクロCTスキャナにより形態学的な解析を行った。その結果、野生型マウスに比べてPRIP-KOマウスでは、歯牙の移動量が小さいことが分かった。また、組織切片を作製し、組織学的解析を行ったところ、周辺の歯槽骨や歯周組織の骨芽細胞やは骨細胞の分布に差がみられた。 これらのことからPRIP欠損マウスにおいて、破骨細胞の機能が低下している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおりに、歯牙移動マウスの作製、矯正力を加えたマウスの歯槽骨の形態学的解析、組織学的解析について一通りの解析はすんでいるので、おおむね順調に進展しているのではないかと思う。 ただ、マウスの歯牙を移動させるために、マウスに矯正装置を装着して、一定期間、飼育していく過程で、装置の脱落がみられたり、死に至マウスもあり、なかなかその後の解析に進めることが困難であった。今後、サンプル数を増やして実験を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
歯牙移動マウスの作製、矯正力を加えたマウスの歯槽骨の形態学的解析、組織学的解析について、サンプル数を増やし、再現性を確認する予定である。また、現在雄のみでの解析していないため、雌においても解析し、性差についても検討していきたいと思う。 また、前述のとおりPRIP欠損マウスにおいて、破骨細胞の機能が低下している可能性が示唆された。研究計画には入れていなかったが、この点に着目した解析も同時に進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PRIP-KOマウス、野生型マウスの飼育に必要な経費、薬品類(組織染色薬品、ゲノムライブラリー、制限酵素、PCR反応試薬、細胞培養用の培地や試薬、遺伝子導入試薬)、ガラス機器、といった消耗品費である。 その他に、マウスに矯正力を加えるのに必要な道具類(プライヤー類)や、消耗品類(レジン、スーパーボンド、コイル、エラスティック、結紮線等)があげられる。 また、国内外での情報収集、成果発表の経費にも使用予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Tsutsumi K, Matsuda M, Kotani M, Mizokami A, Murakami A, Takahashi I, Terada Y, Kanematsu T, Fukami K, Takenawa T, Jimi E, Hirata M.2011
Author(s)
Involvement of PRIP, phospholipase C-related, but catalytically inactive protein, in bone formation.
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Journal Title
The Journal of Biological Chemistry
Volume: Volume286 Number35
Pages: 31032-31042