2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規骨代謝制御分子の歯槽骨リモデリング機構における役割
Project/Area Number |
23792434
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 絢子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 特別研究員 (10432923)
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Keywords | PRIP / 骨リモデリング / 破骨細胞 |
Research Abstract |
PRIP(phospholipase C related inactive protein)は新規のIns(1,4,5)P3 結合蛋白質として見いだされた。ホスホリパーゼC―d1(PLC-d1)と類似したドメイン構造構造(PH ドメイン、EF ハンドモチーフ、活性中心 X , Y ドメイン、C2 ドメイン)を持っているがPLCの酵素活性は持っていない。 PRIP欠損マウスにおいて、野生型に比べ海綿骨の骨量が増加している事から、骨代謝の亢進により骨量が増加していると考えられている。矯正力による歯牙移動では、圧迫側で骨が破骨細胞により吸収され、牽引側で骨芽細胞により骨が形成される。そこで本研究では、矯正力を加えた歯牙移動での歯槽骨リモデリング機構におけるPRIPの役割について解析することにした。 マウスの上顎の切歯と右側第一大臼歯との間にニッケルチタンのオープンコイルスプリングを挿入し、矯正力を加え歯牙を移動させた。X線マイクロCTスキャナにより形態学的な解析を行った結果、PRIP欠損マウスは野生型マウスに比べて有為に歯牙移動距離が減少した。雄雌ともに同様の傾向が見られた。また、組織学的解析において歯槽骨の圧迫側の破骨細胞と、牽引側の骨芽細胞の分布に相違がみられた。 さらに、野生型およびPRIP欠損マウスにおける破骨細胞の分化・成熟の相違について検討するために、両者の大腿骨から採取した骨髄細胞を用いて、RANK、CD115の膜分子の発現をFACSによって解析した。その結果、PRIP欠損マウスでは破骨細胞に分化する割合が有為に減少していた。 これらの結果より、PRIPは矯正力による歯牙移動の歯槽骨リモデリングの制御に関与していることが示唆された。
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