2014 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルストレス下の歯周組織の骨代謝におけるオステオアクチビンの役割の解明
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23792440
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
黒石 加代子(中尾加代子) 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60468303)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / オステオアクチビン / 歯根膜線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正的歯の移動は、破骨細胞と骨芽細胞による骨リモデリングにより生じ、歯根膜がそれらを調節する重要な因子であることが分かっている。本研究では、骨形成性因子であるOsteoactivin(OA)に焦点をあてた。OAは、膜貫通型タンパクで細胞内・外ドメインを持ち、細胞外ドメインのシェディングで活性する。一方、矯正的歯の移動時の牽引側の骨代謝への歯根膜線維芽細胞(hPDL細胞)の関与について不明なままである。本研究では実験的歯の移動時の骨代謝におけるOAの役割解明のためOA細胞外ドメインを切断するa disintegrin and metalloproteinase (ADAM)の働きに着目し、hPDL細胞に伸展刺激を付与しOA発現と放出、ADAM発現の変化について調べた。 In vivoで、ラット臼歯にWaldo法を用い4日間矯正力を与え、歯周組織におけるOAの分布を免疫染色で調べたが、歯周組織でOA免疫陽性骨芽細胞および歯根膜線維芽細胞が伸展側で観察された。In vitroでは、伸展刺激を24時間hPDL細胞に付与し(4%伸展率、5回/分)、hPDL細胞におけるOA発現を半定量的PCR法とReal-time PCR法で調べたが、OAは発現しており、伸展群でその発現量は変化しなかった。さらに、細胞外ドメイン放出量は培養液を用いELISA法で調べたが、伸展群でOA放出量が増加した。細胞外ドメインを切断する酵素の候補として、ADAM12、17の発現をReal-time PCR法とwestern blotting法で調べたが、伸展群でADAM12、17発現量、タンパク産生量が増加した。ADAM阻害薬の添加実験で、伸展刺激で増加したOA放出量がコントロールレベルに減少した。矯正的歯の移動時の牽引側の骨形成に、ADAM12、17を介したOAのシェディングによるOA活性化の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オステオアクチビン(OA)の発現に対する、メカニカルストレス(伸展力)の影響を調べたところ、RT-PCR法とReal-time PCR法でその遺伝子発現量は変化がなく、OA細胞外ドメインの放出が増加することがELISA法によって解明できた。 OAの細胞外ドメインの切断(シェディング)を起こす酵素の候補として、ADAM12,17の遺伝子発現量および、タンパク産生量の変化について、Real-time PCR法とウェスタンブロッティング法で調べたところ、遺伝子レベルに加えタンパクレベルでもそれらの増加を確認することができた。ADAM阻害薬を添加した実験で、OA放出量が減少することが確認され、OA細胞外ドメインのシェディングへのADAMの関与を、裏付けることができた。したがって、順調に、矯正的歯の移動時の伸展側の骨リモデリングに歯根膜線維芽細胞由来のオステオアクチビンが関与するメカニズムの解明が進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
矯正的歯の移動時の歯根膜線維芽細胞の働きにおいて、Osteoactivinが関与していることが示唆されたが、OA細胞外ドメインのシェディングに関与している可能性の高いADAM12、17について、歯根膜線維芽細胞における免疫蛍光染色を行い局在を確認し、OAの局在との関連性についてさらに調べる。 また、歯根膜線維芽細胞だけでなく、歯周組織の骨リモデリングに関与する骨芽細胞や破骨細胞におけるOAの働きの解明を行う。Osteoactivinタンパクを添加したときの培養骨芽細胞の骨芽細胞分化および骨形成能について、アルカリフォスファターゼ活性の測定、bone nodule形成の観察により評価する。また、Runx2、osteocalcinなどの骨芽細胞分化マーカーの発現についてもRT-PCR法もしくはReal-timePCR法で調べる。また、同様にOAタンパク添加時の培養破骨細胞での、分化形成、吸収能について、TRAP染色後のTRAP陽性多角破骨細胞数のカウント、吸収窩アッセイを用い評価する。
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Causes of Carryover |
平成25年04月01日~平成26年03月31日まで、産前産後の休暇および育児休暇により中断していたため、平成26年度はその前年度分を使用し、今回次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫染色を行う際の抗体、Osteoactivinのタンパク、歯根膜線維芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞の培養に関わる、培養液、試薬、プライマー等、また研究発表に関わる経費に使用する。
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Research Products
(2 results)