2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23792460
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
秦 雄一郎 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60465747)
|
Keywords | 口蓋裂 / bFGF / 創傷治癒 |
Research Abstract |
口唇口蓋裂患者では幼少期に口腔と鼻腔の分離と正常な鼻咽腔閉鎖機能の獲得を目的に push back法による口蓋形成手術が行われる。本法は良好な鼻咽腔閉鎖が得られるが、術後の創傷治癒過程で形成される瘢痕組織が、上顎骨および上顎歯列歯槽部の成長発育に抑制的な影響を与えることが知られている。本研究では、bFGF投与が既存の瘢痕組織に対して組織を再改変させることが可能か、また、bFGF投与で修復した組織が再度瘢痕化しないかを病理組織学的、免疫組織学的に明らかにし、既存の瘢痕組織を正常組織化させる方法について検討することを目的とした。 今年度は、実験計画書が大学の動物実験審査委員会で承認されたため、生後20日齢雄性Wistar系ラットを購入し、何も処置を施していないコントロール群、成熟瘢痕モデルに何も投与しない瘢痕群、成熟瘢痕モデルにbFGF溶液を投与したbFGF群、成熟瘢痕モデルにbFGFの溶媒である蒸留水のみを加えたSham群の4群を設定した。瘢痕群、bFGF群、Sham群には、口蓋左右側各1/3の部位で第1臼歯から第3臼歯にかけて骨膜に達する切開を加え、粘膜骨膜を剥離、除去し骨面を露出させて、その後露出した骨面を小綿球にて数回擦過して残存する骨膜を可及的に除去することで成熟瘢痕を作製した。現在bFGFとその溶媒を投与しているところである。 次年度では、各群でHE染色を行い、病理組織学的に検索する。さらに、一次抗体にCollagen typeIpolyclonal antibodyを2次抗体にAlexsa flour 488 goat anti-rabbit IgG を用いて蛍光免疫染色を行いコラーゲンタイプI線維の分布を評価する。また、正常組織と改変組織のコラーゲン線維の架橋分析を行い高次構造の違いを生化学的に評価する。得られた結果は、学会発表を行い公表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度報告した実験申請は承認され実験を開始している。現在、①bFGF投与後の瘢痕組織の改変状態と②コラーゲン線維の分布像からの形態学的評価を行っている。得られたデータをまとめて今年度中に発表する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、瘢痕を形成したラットに対して、手順に従いbFGFを投与する。その後HE染色を行い光学顕微鏡による病理組織学的検索と、TypeIコラーゲンの蛍光免疫染色、およびコラーゲン架橋分析による生化学的検討を行う。得られたデータをまとめて学会発表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用予定の研究費が約11万ある。これは次年度の実験に費用を十分利用できるように薬剤や消耗品の使用を節約して研究を行ったためと思われる。次年度は昨年度に引き続きbFGFの購入費用とラットの購入費、飼育費、さらに染色用薬剤や消耗品のため研究費を使用する。データをまとめて学会発表を行う場合の旅費としても使用する予定である。
|