2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23792460
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
秦 雄一郎 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60465747)
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Keywords | 口蓋裂 / bFGF / 創傷治癒 |
Research Abstract |
口唇口蓋裂患者では幼少期に口腔と鼻腔の分離と正常な鼻咽腔閉鎖機能の獲得を目的にpush back法による口蓋形成術が行われる。本法は良好な鼻咽腔閉鎖機能が得られるが、術後の創傷治癒過程で形成される瘢痕組織が上顎骨および上顎歯列歯槽部の成長発育に抑制的な影響を与えることが分かっている。本研究では、線維芽細胞成長因子(以下bFGF)投与が既存の瘢痕組織に対して組織を再改変させることが可能か、また、bFGF投与で修復した組織が再度瘢痕化しないかを病理組織学的、免疫組織化学的に明らかにし、既存の瘢痕組織を正常組織化させる方法について検討することを目的とした。 今年度は、何も処置していないコントロール群、成熟瘢痕モデルに何も投与しない瘢痕群、成熟瘢痕モデルにbFGFを投与したbFGF群、成熟瘢痕モデルにbFGFの溶媒である蒸留水を加えたSham群の4群の資料を作成しHE染色を行った。 瘢痕群では、コントロール群と比較して粘膜下組織までコラーゲン繊維の肥厚した束がみられ歯槽骨と骨膜を介することなく直接結合していた。血管は疎であった。投与後1週のbFGF群では、瘢痕群と比べて骨膜の消失は見られないもののコラーゲン線維束の様子はあまり変化を認めなかった。しかし、一部に粘膜下組織で線維束が疎な部分も見られ、コントロール群のそれに近似した像を認めた。また、2週の群でも1週と類似した像を示した。Sham群では、瘢痕群と同様の像を認めたものの、腐骨と思われる骨分離像やその周囲に炎症細胞浸潤を認めた。以上のことから、既存の瘢痕組織に対するbFGF投与が、一部に効果を認める可能性が示唆された。 また、本研究に関連する臨床評価として出生後ただちに顎矯正治療を施行した症例について学会発表を行った。今後は、bFGFの投与部位や濃度を変化させることでより効率よく効果を得られるようにさらなる検討が必要である。
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Research Products
(1 results)