2011 Fiscal Year Research-status Report
IL-17と歯周病原細菌との相互作用から探る歯周炎病態メカニズム
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23792470
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本田 朋之 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30447635)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 歯肉上皮細胞 / IL-17A / TNF-α / Porphyromonas gingivalis / IL-17R |
Research Abstract |
我々はこれまでにIL-17(IL-17A)が歯周炎組織において上昇していることを報告したが(Honda et al. Clin Chim Acta. 2008),病態への具体的な関与については未だ不明な部分が多い.本研究では歯肉上皮細胞においてIL-17と歯周病原細菌との相互作用に着目し歯周炎の病態形成に至るメカニズムを解明する.本年度は歯肉上皮細胞株(epi4,Murakami et al. J Dent Res. 2002)に対するIL-17Aの単独作用に重点を置き解析を行った.その結果,epi4においてIL-17Aの認識に関わるヘテロダイマー受容体IL-17RAおよびIL-17RCが恒常的に発現していることを確認した.これらの受容体はIL-17A刺激および歯周病原細菌P. gingivalis刺激において変動は認められなかった.epi4においてIL-17Aを用いて刺激すると,IL-1β,IL-6,TNF-α,CXCL8の遺伝子発現が上昇したが,CCL2発現に変化は認められなかった.一方,epi4においてTNF-αを用いて刺激すると,これらの炎症性因子はいずれも上昇した.IL-17A刺激において,CXCL8が他の炎症性因子に比較して最も強く誘導されたが,これはIL-17Rを介した作用であることを確認しており,IL-17Aによって誘導された他のサイトカインによる二次的な作用ではないと考える.また,CXCL8を誘導するシグナルにNF-κBが関与していることを明らかにした.以上の結果から,IL-17AはTNF-αと同様に,歯肉上皮細胞に作用し自然免疫系の活性化に寄与していると考えられる.歯周炎組織において上昇しているIL-17Aについて,歯肉上皮細胞を介した病態への機能的な関与が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-17AとP. gingivalisとの相互作用を検討していく上で,IL-17A単独作用に関する解析は避けて通れない.前述の概要で示した通りIL-17A単独作用に関する解析において有用な結果を得ることができ,今後予定する相互作用に関する解析を円滑に進めることができると考えられ上記の判断とした.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においてIL-17A単独作用の解析から得た結果をもとに,IL-17AとP. gingivalisとの相互作用,すなわちepi4に対して共刺激を行い,炎症性因子に及ぼす影響を検討する.また,IL-17A,P. gingivalisの認識に関わるIL-17RおよびTLR2の関連シグナル分子に及ぼす影響も検討する.さらに,IL-17A,P. gingivalisの各単独刺激および共刺激したepi4について,未刺激をコントロールとしてDNAマイクロアレイ解析を行い,各刺激により変動した遺伝子情報を得る.これらの結果を統合して両シグナルのクロストークに関与する分子を特定していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画ではDNAマイクロアレイ解析は本年度に実施する予定であったが,次年度に解析を予定する.従って,本年度において未使用の費用はこれにあてる.次年度における研究費の支出は,主に遺伝子・タンパク発現解析等に掛かる消耗品費が大部分を占めるが,研究資料収集・成果発表に掛かる国内・外国旅費,外国論文校閲費等の支出が予定される.
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