2012 Fiscal Year Annual Research Report
IL-17と歯周病原細菌との相互作用から探る歯周炎病態メカニズム
Project/Area Number |
23792470
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本田 朋之 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30447635)
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Keywords | 歯肉上皮細胞 / IL-17A / IL-17R / Porphyromonas gingivalis / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
我々はこれまでにIL-17(IL-17A)が歯周炎組織において上昇していることを報告したが(Honda et al. Clin Chim Acta. 2008),病態への具体的な関与については未だ不明な部分が多い.本研究では歯肉上皮細胞においてIL-17と歯周病原細菌との相互作用に着目して歯周炎の病態形成に至るメカニズムを解明する. 昨年度は,歯肉上皮細胞株(epi4,Murakami et al. J Dent Res. 2002)に対するIL-17Aの作用に関して解析を行った.その結果,epi4においてIL-17Aの認識に関わるヘテロダイマー受容体IL-17RA・IL-17RCが恒常的に発現していること,epi4に対してIL-17Aを用いて刺激すると,炎症性サイトカイン・ケモカインが上昇することを示した. 本年度は,epi4に対してIL-17AとP. gingivalis生菌または同菌由来LPSを用いて共刺激し,炎症性サイトカイン・ケモカイン産生への影響を検討した.その結果,現在まで明らかな相乗効果は確認できておらず,刺激条件等に関して今後より詳細な検討が必要と考える.最近,上皮系細胞において特異的に産生され,これをターゲットとするIL-17Cの存在が報告された.我々はepi4においてIL-17Cの認識に関わるIL-17RA・IL-17REが発現していることを確認した.今後は,IL-17Cの歯肉上皮細胞への作用も検討するとともに,IL-17Aや他の炎症性サイトカイン,細菌因子との相互作用にも着目していく予定である. 本研究よりIL-17Aが既知の炎症性サイトカインの作用と同様に,歯肉上皮細胞に対して自然免疫系の活性化に寄与していることが示唆された.歯周炎組織において上昇しているIL-17Aについて,歯肉上皮細胞を介した機能的な関与が明らかとなった.
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