2011 Fiscal Year Research-status Report
新しく確立されたT細胞サブセットT(FH)は歯周炎に関与するか
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23792472
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 晴江 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30397145)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯周炎 / follicular helper T cell |
Research Abstract |
【目的】慢性炎症性歯周炎に罹患した組織はB細胞・形質細胞の細胞浸潤が優勢ではあるが、そこには多数のT細胞も浸潤しており、この浸潤T細胞によってB細胞の分化、増殖それに続く抗体産生が調節されている。近年では慢性の炎症巣や自己免疫疾患において患部局所での異所性のリンパ濾胞の形成が認められ、そこに存在するfollicular helper T cell(Tfh)によるB細胞の維持、活性化機構がその発症や進行に関与するとの報告がある。そこで今回Tfh細胞に注目し、この細胞が歯周炎の病態形成へ関与しているのかその可能性について探ることとした。【方法と結果】インフォームドコンセントを得たうえで、歯周炎罹患患者より歯周外科手術時あるいは抜歯時に切除した歯周炎罹患歯肉組織の採取を行った。またその他の患者より歯周炎以外の理由による抜歯時に臨床的歯肉炎あるいは臨床的健常歯肉組織の採取を行った。それぞれの歯肉より全RNAを抽出しReal-time PCR法により、得られた歯肉組織中におけるT細胞の局在について解析を行った。臨床的に健常あるいは歯肉炎の歯肉組織と歯周炎罹患歯肉組織の両組織中にCD3分子の発現が認められ、T細胞が浸潤していることが確認された。また、抗原提示細胞、血管内皮細胞とともにB細胞上にも発現することが報告されているOX40L分子についても同様に検索を行ったところOX40L分子の発現が認められた。このことから採取されたサンプル中にはB細胞も浸潤している可能性が高いことが確認された。今後はこの浸潤しているT細胞中にTfh細胞が含まれているのか更に詳細に解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度では歯周炎罹患組織中におけるTfh細胞の局在の有無について検索を行うことを目的とし、解析するに足る数の歯肉組織サンプルを収集することとReal-time PCR法、免疫組織染色法による解析を予定していた。しかしながら歯肉切除を伴う歯周外科処置を必要としサンプル採取にご協力頂ける患者の確保が充分に行えなかったためにサンプルの収集がすすんでおらず、その後の解析に遅れが生じている。次年度はサンプル採取に協力してもらえる歯科医師の数を増やし、多くの患者に周知することでサンプル採取の効率化を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度中に採取された歯肉組織中にはT細胞とB細胞ともに浸潤している可能性が高いことが確認されたことから、今後はTfh細胞の特徴としてこれまでに報告されているCXCR5、BCL6転写因子の発現とIL-17、IL-21の発現についてReal-time PCR法により検索を行う。またこれと並行して採取された歯肉組織を用いて免疫組織染色を行い、歯周炎罹患歯肉組織中におけるTfh局在の有無について検索を行う。平成23年度では解析にたる十分な数のサンプル数の収集にはまだ及んでいないことから平成24年度でも継続してサンプルの収集を行うことを予定している。平成23年度においては申請者を含み主に3名の歯科医師によりサンプルの採取を行ってきたが、今後は協力頂ける歯科医師の数を増やし広く患者に周知することで、効率的なサンプル収集が行えるように図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には解析に足る数の歯肉組織のサンプルが採取されることが見込まれる。従って平成24年度には歯周炎罹患組織中におけるTfh細胞の局在の有無について詳細に解析するためのReal-time PCR関連、免疫組織染色及びフローサイトメトリー解析用の抗体、試薬の購入が必要となる。また歯周病原細菌あるいは自己抗原に対するTfh細胞の応答を検索するために必要となる、細胞培養液、血清、サイトカイン、培養操作に必要なプラスチック製品・ピペットと産生されたサイトカインを検出、定量するためのELISAキットの購入が必要となる。
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