2011 Fiscal Year Research-status Report
歯周組織再生に向けたmTORを軸とした分子生物学的基盤の確立に関する研究
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23792482
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 利明 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60381183)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 歯周病 / 歯周組織再生 / mTOR / FKBP12 |
Research Abstract |
歯周病は組織破壊性の慢性炎症性疾患で、歯の喪失の主な原因であり、歯周病により破壊された歯周組織を再生させることはQOLの向上に大きく寄与すると思われる。現在用いられている歯周組織再生療法は適応症の拡大、予知生の向上という点では、まだまだ問題点は多い。その点を改善するには歯周組織再生に適した状態へ宿主細胞群・移植細胞群を効率的に制御する視点が重要であると考えられる。近年、The mammalian target of rapamycin (mTOR)が、胚性幹細胞(ES 細胞)において、その自己複製や分化段階を制御する因子として機能している可能性が示されている。また、TGF-βsuperfamily に属する成長因子(BMP-2等)の受容体にmTOR 経路に関与するFKBP12 が結合し、シグナル伝達を抑制しているとの報告もある。本研究では、歯周組織由来細胞や、有力な細胞移植のソースとして脱分化脂肪細胞等を用い、mTOR を軸とした歯周組織再生に適した状態へ細胞を制御する分子生物学的基盤を確立することを目的としている。まず、歯周組織由来細胞としてヒトセメント芽細胞(HCEM)を用いたBMP-2刺激に対するFK506の作用を検討したところ、(1)BMP-2刺激によりALP活性は上昇し、FK506添加によりさらに亢進した(2)BMP-2刺激による石灰化をFK506は亢進した。しかしFK506単独刺激でのALP活性および石灰化への影響はわずかであった。(3)BMP-2刺激によりsmad1/5/8のリン酸化およびOsterix, Dlx5, ID1の遺伝子発現は増加し、FK506添加により亢進した。これらより、HCEMにおいてFK506はBMP-2によるsmad経路のリン酸化を亢進し分化制御を行っている可能性が示唆された。今後、他の細胞における作用を多角的に検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、他の細胞の解析も予定していたが、および実験系の確立に時間がかかったこともあり、まずはHCEMのみに研究ターゲットを絞り解析を行った。次年度以降、効率的に他の細胞群の解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まではHCEMを中心に解析してきたが、次年度は歯根膜細胞、脱分化脂肪細胞(DFAT)、GFiPS細胞などの細胞を用いた解析と、様々な成長因子への応答におけるmTOR・FKBP経路の働きを解析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は、消耗品(実験に必要なプラスチック製器具、抗体、試薬、薬品等)および設備備品の購入に充て、旅費は国内(北海道)および海外(アメリカ)の学会へ参加・成果発表への使用を考えている。その他の経費としては解析の一部を外部委託する費用として考えている。
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Research Products
(1 results)